チュール(読み)ちゅーる(英語表記)Tulle

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チュール」の意味・わかりやすい解説

チュール(フランス)
ちゅーる
Tulle

フランス中部、コレーズ県の県都。マッシフ・サントラル(中央群山)の西部、標高212メートルの地にあり、コレーズ川(ドルドーニュ川支流ベーゼル川のさらに支流)の両岸に沿って位置する。人口1万5553(1999)。7世紀にベネディクト派修道院を中心に発生し、中世にはラシャ市が立った。ペストによる人口減や16世紀の宗教戦争で荒廃したが、18世紀に王立銃器工場ができ、現在は国立武器工場が産業の中心となっている。繊維工業は古くから盛んで、チュール織の原産地である。交通幹線から外れており、発展に取り残されている。12~14世紀の大聖堂がある。

[青木伸好]


チュール(生地)
ちゅーる
tulle

ごく微細な多角形網状をした薄い経編生地(たてあみきじ)。組織は、もと隣合わせの経糸を次から次へと絡み合わせ、細かい六角形の穴をつくる手編地であったが、1768年にイギリスで機械化がなされ、経編機を使うようになった。これは穴の大きさが着用しているうちに不同を生じるなどの欠点があったが、ナイロン出現によって、トリコット経編機で編み、ヒート・セットして、洗濯してからも型のくずれないものが現れた。用途は、ベール帽子装飾、縁飾りなどであるが、これにアップリケや刺しゅうをすることが多い。

[角山幸洋]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チュール」の意味・わかりやすい解説

チュール
tulle

各種繊維のごく小さい多角形の網状縦編み布地。最近はナイロン製が多い。名称はフランスの原産地名テュルによる。花嫁のベール,ショール婦人帽の装飾布地などに用いられる。

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