カナダ南東部,ニューブランズウィック州の州都。人口8万5688(2006)。セント・ジョン川に面する。この付近では,アルゴンキン諸族のミックマックやマリシート・インディアンが生活を営んでいたが,17世紀末ころからフランス人が集落をつくり,サンタンヌSt.Anneと呼ばれていた。1762年,フランス人が放棄していたこの場所にイギリス人が入り,83年アメリカ独立革命の結果,本国に忠誠を誓うローヤリスト約6000人がアメリカより逃れて移住し町が発展した。85年,時のイギリス国王ジョージ3世の第2子の名をとって町の名がつけられ,州都となった。木材の集散と加工が盛んで,セント・ジョン川を通じてファンディ湾までの水運がある。ニューブランズウィック大学の所在地。また同州出身で,イギリスに渡り《デーリー・エクスプレス》紙を創刊し,大富豪となって政治家としても活躍した立志伝の人W.M.A.ビーバーブルックが寄付した美術館〈ビーバーブルック・アート・ギャラリー〉がある。
執筆者:正井 泰夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
カナダ、ニュー・ブランズウィック州の都市で、州都。セント・ジョン川中流沿岸に位置する。人口4万7560(2001)。1785年、時のイギリス国王ジョージ3世の第2子の名をとって命名。セント・ジョン河谷の中心都市で、木材の集散地、毛皮取引市場として発達した。製材、木工品、皮革などの工業があるほか、州の行政・教育機関が集まり、小都市にもかかわらずニュー・ブランズウィック大学、ビーバーブルック・アート・ギャラリーなどがある。1740年ノバ・スコシアからの移住者が村を開き、83年のアメリカ独立革命の際、イギリス本国に忠誠を誓う6000人がアメリカより逃れ移住した。85年州都に制定された。
[山下脩二]
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