翻訳|hooligan
サッカーの試合場や、その周辺に現れて集団で暴力事件を引き起こす暴徒のことをさす。本来は「町の不良」「無頼漢」「ならず者」等を意味する英語。9世紀のロンドンの住人で、酒を飲んでは、しばしば乱暴狼藉(ろうぜき)をはたらいたアイルランド人の姓「Hoolihan(フーリハン)」が語源といわれている。一部メディアでは、「サポーターの一部のフーリガン」と表現することもあるが、彼らは暴徒であってサポーターではない。
フーリガンの悪名が世界的に知られるようになったのは、1985年にベルギーで行われたヨーロッパ・チャンピオンズ・カップ決勝戦で「ヘイゼルの悲劇」とよばれる大惨事が起こってからである。キックオフから1時間後、ファン同士の小競り合いがきっかけになって、リバプールを応援するフーリガンがユベントス側の席になだれ込んだ。混乱から逃れようとしてユベントスを応援する観客がスタンド下へと殺到、ピッチとスタンドを区切る塀と、逃げ場を求めてスタンド下へ移動する観客の間に挟まれて39名もの命が奪われた。負傷者は400名を超え、この事件以後5年間、イングランドのクラブチームは国際試合への出場を禁じられた。
1980年代に、イングランド、オランダ、ドイツなどで社会問題化したフーリガンは、各国警察の徹底したフーリガン封じや、運営組織の努力で弱体化したといわれているが、彼らが起こす暴力事件は後を絶たない。1998年ワールドカップ・フランス大会でも、2000年に行われたヨーロッパ選手権でも事件は起きている。フーリガンの存在は、人種や国籍を越えた世界の共通語とよばれるサッカーというスポーツにあって最大の恥部であり、あらゆる方策をとって根絶させなければならない問題である。
[西村幸祐]
『ビル・ビュフォード著、北代美和子訳『フーリガン戦記』(1994・白水社)』▽『ミッキー・フランシス、ピーター・ウォルシュ著、小林章夫訳『フーリガン』(2001・飛鳥新社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新