日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラック企業」の意味・わかりやすい解説
ブラック企業
ぶらっくきぎょう
従業員に過重なノルマや度を超した長時間のサービス残業を課すなど違法性の高い働き方を強いたり、精神的ないじめや嫌がらせ、賃金の未払いなどが常態化しているような企業の総称。ブラック会社ともいう。従業員を酷使し、使い捨て、自主退職に追い込む企業をはじめ、従業員の退職希望を拒否し、失業保険申請に必要な離職票を出さないまま働かせ続ける企業などもある。若者の就職難が社会問題となった2000年代後半から聞かれるようになり、インターネット上のスラング(隠語)として広まった。もともとは暴力団などと関係し、違法な営業行為を繰り返すような反社会的な企業をさす呼称であった。
こうしたなか、厚生労働省は2013年(平成25)より、中小企業を対象に、「若者応援企業宣言事業」を開始した。各地の労働局を通じ、若者(35歳未満)の採用実績や定着の状況、月平均の残業時間などの情報を開示することで、中小企業と就職希望の若者とのマッチングを確実にすると同時に、ブラック企業による被害を減らすこともねらいの一つだといわれている。協力企業は求人情報だけではなく若者応援企業として、労働局のホームページで紹介される。
[編集部]