ブローベル(読み)ぶろーべる(その他表記)Günter Blobel

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブローベル」の意味・わかりやすい解説

ブローベル
ぶろーべる
Günter Blobel
(1936―2018)

アメリカの分子生物学者。ドイツのワルタースドルフ生まれ。1960年チュービンゲン大学医学部を卒業。2年間の研修医生活後アメリカに渡りウィスコンシン大学に進学、1967年に腫瘍(しゅよう)学で博士号を取得した。その後1969年までニューヨークのロックフェラー大学で研究。1969年同大学助教授、1976年より同教授となる。1986年よりハワード・ヒューズ医学研究所研究員も兼任。

 1971年、細胞内のリボゾームで合成された分泌タンパク質は、小胞体に輸送されるために固有のシグナル配列をもっているとする「シグナル仮説」を提唱。その後20年近くかけて、彼自身を含む多くの研究者により、分泌タンパク質の分泌までの過程をはじめとする細胞内タンパク質の輸送システムが明らかになり、シグナル仮説が実証された。多くの遺伝性疾患で、タンパク質の誤った細胞内局在が明らかになっており、細胞内輸送システムの解明はこれらの疾患の研究にも大きく貢献した。この功績により、1999年のノーベル医学生理学賞を受賞した。

[馬場錬成 2018年10月19日]

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関連語 アミノ酸配列

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブローベル」の意味・わかりやすい解説

ブローベル
Blobel, Günter

[生]1936.5.21. ドイツ,ワルタースドルフ
[没]2018.2.18. アメリカ合衆国,ニューヨーク,ニューヨーク
ドイツ生まれのアメリカ合衆国の分子生物学者。テュービンゲン大学で医師資格を取得後アメリカに渡り,ニューヨークのロックフェラー大学蛋白質研究所に入所。1976年から同大学教授。1970年代の初期から細胞内の物質輸送の仕組みを研究し,生成された蛋白質のアミノ酸配列の末端にそれぞれ固有のシグナルがあることを発見。これが輸送される行き先を示す「荷札」や「郵便番号」のような役割を果たすとする「シグナル仮説」を提唱し,細胞内でつくられる蛋白質輸送の複雑で巧妙な仕組みを解明した。その結果,ある種の遺伝病はこのシグナルや運搬のメカニズムの異常によって引き起こされることが判明し,遺伝工学の技術を用い「荷札」をつけることで,遺伝子治療の可能性を開くとともに,複雑な蛋白質の合成や新薬製造に貢献した。この功績によって 1999年ノーベル生理学・医学賞を受賞。

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