翻訳|telephone
音声を主とした通信を行うために、電話回線の端末に取り付ける装置。1876年にアメリカのグラハム・ベルにより世界初の実用的な電話機が発明された。日本へは1877年(明治10)にアメリカから輸入されたのが最初であり、1878年には国産第1号機が試作されている。
電話機は一般に、音声などの音波を電気信号に変換し、電話回線を通して離れた相手に伝えるとともに、相手から送られてきた電気信号を音声(音波)に再生し通話することができる機能と、多数の相手から希望する相手を選択するための信号(ダイヤルパルスまたは数字を表す音響など)を送出し、相手からの呼出しをベル音などを発して知らせる機能をもつものである。音声を電気信号に変換する送話器、電気信号を音声に変換する受話器、選択信号を送出するダイヤルまたは押しボタン、呼出し音を送出するベル、およびこれらを電話回線に接続し、その機能を果たすための回路網より構成される。交換機がすべて自動化された現在では、ダイヤルのない磁石式および共電式電話機は特殊な用途を除き使用されていない。一般的には用途により、一般加入用電話機、公衆電話機、事業所用電話機に大別することができる。
一般加入用電話機は、601形電話機(黒電話)や601P形電話機(プッシュホン)を原型としたものが広く使われているが、回路にLSI(大規模集積回路)を用いて小型化し、留守番電話、番号表示、コードレス通話などさまざまな機能を備え、多様なデザインのものがある。また、1回線に複数の電話機を接続して利用する親子電話やホームテレホンがある。特殊なものとして、難聴者用電話機、骨(こつ)伝導電話機、緊急連絡機能をもつ福祉電話機などがある。
公衆電話機には、店頭用(赤電話)として10円硬貨用の671号公衆電話機と100円・10円硬貨併用の678号公衆電話機(赤に黄色の帯)があり、街頭用(ボックス公衆)として10円硬貨用の672号公衆電話機(青色公衆)、100円・10円硬貨併用の673号公衆電話機(黄色公衆)などがあったが、これらは廃止されている。現在使われているのは、テレホンカード・100円・10円硬貨併用のMC-1号公衆電話機(緑色公衆)およびISDN(integrated service digital network=統合サービスデジタル網)回線を用いる公衆電話機(グレー)である。1999年(平成11)からは、非接触式のIC(集積回路)テレホンカードを用いる公衆電話機が設置されたが、磁気テレホンカードに比べて利用が伸びなかったため、2006年(平成18)3月に廃止された。
事業所用電話機のうちボタン電話機(ビジネスホン)は小規模な事業所やオフィスを対象とするものであり、ボタン操作により内部のどの電話機からでも加入回線が選択できるのが特徴である。構内交換電話(PBX)や事業所集団電話(CES)に使用する内線電話機は、一般加入電話機と同じものが使用される。
1985年(昭和60)4月1日から施行された電気通信事業法により、郵政省令(2001年より総務省令)で定める技術基準に適合し認定を受けた電話機であれば、自由に一般の電話回線に接続できるようになったため、従来のものに加えて多種多様な電話機が市販されるようになった。また、機能の面でも、コードレス機能、電話番号のメモリー機能、リダイヤル機能、留守番電話機能、保留音機能、スピーカー受話機能、三者通話機能、セキュリティ機能、データ転送機能などさまざまなものが登場している。さらに、ファクシミリやプリンターと組み合わせた電話機や、手書き文字や線画が送れるスケッチホン、インターネット接続機能を有しWeb(ウェブ)ページの表示やテレビ電話が可能なものなど、複合的な電話機が登場している。
[坪井 了・三木哲也]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…現在,日本では約7000万台の電話機が使われており,これらは約5000局の電話交換機と有線,無線の多数の電話伝送システムによって相互に接続されている。世界全体には7億台に近い電話機が存在し,これらは国際回線網によって結合されて電話網と呼ばれる巨大な電気通信ネットワークを構成している。…
※「電話機」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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