プリーツ加工(読み)プリーツかこう(その他表記)pleating

改訂新版 世界大百科事典 「プリーツ加工」の意味・わかりやすい解説

プリーツ加工 (プリーツかこう)
pleating

スカートブラウスズボン,飾りレースなどに,雨などで簡単にとれることのないひだプリーツ)を付ける加工熱可塑性の合成繊維はヒートセットにより耐洗濯性のあるパーマネントプリーツが得られる。毛織物の場合はアイロン掛けでつけたひだは耐久性がない。オーストラリアの連邦科学産業機構(CSIRO)で開発されたシロセットSiroset加工は,毛織物を還元性セット剤の存在下で蒸熱してひだを与える方法であり,羊毛のシスチン残基のジスルフィド架橋結合が還元により切断され,その状態でひだの形がセットされるものである。ズボンの場合はホフマン型プレスで折目をつけ,スカートの場合は型紙とともに折りたたみ,オートクレーブ中で蒸熱したあと乾燥する。セット剤として,当初はチオグリコール酸アンモニウムが用いられていたが,現在ではモノエタノールアミンの亜硫酸塩などが用いられている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プリーツ加工」の意味・わかりやすい解説

プリーツ加工
ぷりーつかこう

ひだ付け加工のことで、婦人用スカート、ブラウス、飾りレース、ズボンなどのひだや折り目に加工を施し、半永久的にこれを保持するもの。加工には、(1)手作業により樹脂などを使って処理するもの、(2)2本の熱したロールにナイフエッジで織物を超過供給して平行状にひだをつくるプリーティング・マシン法、(3)二枚の型紙に挟み、畳んで湿熱処理を施し、アコーディオン形などの自由な形に仕上げる型紙法などがある。綿織物には樹脂加工、毛織物にはシロセット加工麻織物にはアプコセット加工、あるいは天然繊維と化合繊の混紡によって耐洗濯性のあるプリーツをつくる。この試験方法には、プリーツ保持性としてプリーツ回復性を求める測定法を使用する。

[角山幸洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「プリーツ加工」の解説

プリーツ加工
プリーツカコウ
pleating

パーマネントプリーツ加工(permanent pleat set)ともいう.ズボン,スカートなどの折り目を半永久的に与える加工.合成熱可塑性のナイロンポリエステルアクリルなどの繊維が主になっている織物では,繊維の熱可塑性を用いて必要な折り目を与える.毛織物では,チオグリコール酸などを用いたシスチン結合反応型が用いられる.セルロース系に対しては樹脂加工方式が利用される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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