ブラウス(読み)ぶらうす(英語表記)blouse

翻訳|blouse

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラウス」の意味・わかりやすい解説

ブラウス
ぶらうす
blouse

婦人・女児用の、腰丈、あるいはそれより長めのゆったりした上衣。襟、袖(そで)の有無ともにあるが、着方によって裾(すそ)をスカートやズボンの下に入れるタックイン(またはアンダー)、上に出して着るオーバー、その両方に着られるイン・オア・アウトなどに分けられる。今日的なブラウス概念が確立したのは19世紀後半で、1860年赤シャツ隊を率いたイタリアの将軍ガリバルディが着用していたシャツ風の上衣が女性の人気を博し、76年にはイギリスにブラウスの呼称が出現、80年代の女性のテーラード・スーツの普及で、その上着の下に着るものとして定着するに至った。アメリカでは同形のものが、ウエストコートとして1870年代に現れている。今日では四季を通じて、普段着からスポーツ着、おしゃれ着、正装用などとして、幅広く用いられる実用的な衣服の一つとなっている。

 このほか、シャツやスモックに似た、ゆったりした仕事着のこともいう。膝(ひざ)までの長さがあり、腰でベルトを締めるのが普通。主としてヨーロッパの労働者が着るほか、画家農夫が着用する。また、アメリカの軍隊制服で、コートがわりに着るシングルの打合せの背広形のジャケットや、水兵の着るジャンパーをブラウスとよぶこともある。

[田村芳子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ブラウス」の意味・わかりやすい解説

ブラウス
blouse

服飾用語で,以下の4種をいう。 (1) 膝丈程度のゆるやかなスモック風の上っ張り。荒い麻布綿布などでつくられ,ベルトをつけることもある。 (2) アメリカ軍の着用する通常軍装上衣。 (3) 女性,子供用のゆるやかなシャツ型の上衣。丈はウエスト線か,その前後でデザインは多様。綿,麻,絹,合繊など素材も変化に富む。 19世紀後半,テーラードスーツの婦人服への導入の際にシャツから発達したもので,表着としても定着した。日本ではこの型のものを広くブラウスと呼んでいる。 (4) 垂れ下がった丈のゆとりやそれによって生じるふくらみ。ブラウジング blousingともいう。

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