種類や熟度の違うナチュラルチーズを粉砕混合し、乳化剤を加えて加熱溶解し、チーズ中に含まれる乳酸菌や酵素などの活性を失わせてから成型したチーズのこと。均一な品質が得られ、保存性に優れているので、長期にわたる流通期間に堪えられる利点がある。1904年にアメリカのクラフトKraftが製造を開始したもので、日本では1933年(昭和8)北海道遠浅(とあさ)(現、胆振(いぶり)総合振興局管内安平(あびら)町)で北海道酪連(現雪印乳業)が工業生産を始めた。おもにアメリカ、日本で発達した製法で、ヨーロッパではあまり関心をもたれていない。
1999年度(平成11)現在、日本ではチーズ消費量の約47.5%がプロセスで、原料にはゴーダ、チェダーチーズがおもに用いられている。プロセスチーズは、厚生省令「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」で乳固形分40%以上の含有が規定されているが、それに達しないチーズ加工品のチーズフード(チーズ分51%以上)、チーズスプレッドなどもプロセスチーズの変型と考えられる。
[新沼杏二]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…牛乳,脱脂乳,クリーム,羊乳などを原料とし,レンネット(凝乳酵素)の作用や乳酸菌などの細菌,アオカビなどのカビあるいは酵母など,各種の微生物の働きを利用して製造されるもの(ナチュラルチーズ)で,それをさらに加工したものはプロセスチーズと呼ばれる。
[歴史]
アラビアの商人が,ヒツジの胃袋で作った水筒に乳を入れて旅をしている間に,太陽熱で暖められた乳が胃袋の凝乳酵素の働きにより固まって,チーズのようなものが初めてできたというアラビアの民話がある。…
※「プロセスチーズ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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