日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘビギンポ」の意味・わかりやすい解説
ヘビギンポ
へびぎんぽ / 蛇銀宝
snake blenny
snake triplefin
[学] Enneapterygius etheostoma
硬骨魚綱スズキ目ヘビギンポ科に属する海水魚。北海道南部から九州までの日本各地に分布する。背びれは3基に分かれ、第1と第2は棘(とげ)のみからなり、第2がもっとも大きい。体形、雄の体色、および翼のように外方へ張り出す大きい胸びれから「ツバメ」の別名をもつ。前鼻孔と目の上にそれぞれ1本の皮弁がある。側線は不連続で、前半部は胸びれ上方、後半部は体の中軸を走る。体色は雌では淡黄褐色であるが、雄では黒っぽい。潮だまり(タイドプール)の岩の間にすみ、海藻、小動物を食べる。全長7センチメートルぐらいになる。産卵の盛期は夏で、海藻の間に付着卵を産み、雄はこれを保護する。
近縁種には顔の黒いクロマスクなど22種近く知られているが、大部分は琉球諸島(りゅうきゅうしょとう)に分布する。
[尼岡邦夫]