ヘプ(読み)へぷ(英語表記)Cheb

デジタル大辞泉 「ヘプ」の意味・読み・例文・類語

ヘプ(Cheb)

チェコ西部の都市。ボヘミア地方の最西端でドイツとの国境に近く、オフジェ川に沿う。中世よりバイエルン地方とボヘミア地方を結ぶ中継点として繁栄フス戦争三十年戦争で大きな被害を受けた。現在は機械工業、ビール醸造が盛ん。旧市街にはシュパリーチェクとよばれるゴシック式建物が並ぶほかヘプ城、ヘプ博物館などがある。ドイツ語名エーガーまたはエゲル

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘプ」の意味・わかりやすい解説

ヘプ
へぷ
Cheb

チェコのボヘミア地方最西端、ドイツとの国境に近いオフジェ川川岸にある歴史的都市。人口3万3028(2001)。13世紀にドイツ人の東方植民によって建設され、18世紀まで都市として自治を保った。14、15世紀のゴシック様式ルネサンス様式の建築物に囲まれた広場が保存されており、なかでもロココ様式ファサードをもった家(シュパリーチェックとよばれる)が有名である。また、12世紀のロマネスクチャペルと砦を残すヘプ城、ヘプ博物館もある。機械、綿や亜麻(あま)などの繊維、ビール醸造、皮革などの工業も行われている。ボヘミア、ザクセン、バイエルンの地域間協力(ユーロレギオ・エグレンシス)においてボヘミアを代表する都市でもある。三十年戦争で活躍したボヘミア出身の傭兵(ようへい)隊長ワレンシュタインが1634年この地で暗殺された。

中田瑞穂

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「ヘプ」の意味・わかりやすい解説

ヘプ
Cheb

チェコ西部,西ボヘミアにある都市。人口3万2000(1991)。ドイツとの国境から5kmの所にある鉄道交通の要地で,かつてはドイツ人町。ドイツ名はエーガーEger。ラベ(エルベ)川の支流オフジェOhře川沿いに発達。機械(自転車)・繊維・食品(肉,ビール)・木材工業が盛ん。13世紀に起源をもつフランチスカナ教会,15世紀のニコラウス教会や〈黒い塔〉のあるロマネスク式の城館,ゴシック,ルネサンス,バロック式の家々など,重要な歴史的建造物が多い。また三十年戦争当時の名将ワレンシュタインが暗殺(1634年2月)された所としても有名。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘプ」の意味・わかりやすい解説

ヘプ
Cheb

ドイツ語ではエーガー Eger。チェコ西部,チェヒ (ボヘミア) 地方西部の都市。チェコの西端,ドイツとの国境近くに位置する。自転車,機械,羊毛加工,木材などの工業が行われる。 12世紀に築かれた城跡,中世ドイツ集落の面影を残す広場などがある。北西からボヘミアへ入る要地にあたるため,中世からフス戦争,三十年戦争などたびたび戦火にあい,第2次世界大戦後ドイツ人を追放するまではほとんどドイツ人の町であった。人口3万 1847 (1991推計) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android