ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベリガン兄弟」の意味・わかりやすい解説
ベリガン兄弟
ベリガンきょうだい
Berrigan brothers
(弟)フィリップ Phillip 1923.10.5. ミネソタ,バージニア~2002.12.6. メリーランド,ボルティモア
1960年代アメリカ合衆国のカトリック教会における最も急進的,行動的な反戦・反体制運動の指導者兄弟。兄は 1939年にイエズス会に入り,1952年司祭に叙階。弟は第2次世界大戦に出征後,黒人宣教の歴史をもつ聖ヨゼフ会に入り,1950年カトリック教会の司祭となった。兄弟は早くからカトリック教会の政治的保守主義に批判をいだいていたが,1965年,政府のベトナム戦争政策に反対する「良心宣言」に署名。戦争の拡大に伴って反戦主義の立場を強め,体制的教会内外の圧力に抗いつつ,カトリック内少数派を指導して,活発な不服従反戦運動を展開した。1967年10月27日,弟のフィリップは 3人の平和運動家とともにボルティモアの徴兵事務所に侵入,書類に血を注いで逮捕された。さらに保釈中の 1968年5月18日,同志とともにボルティモア近郊ケイトンズビルの徴兵事務所を襲って徴兵カードを焼却。この行動には兄も加わった。参加者はケイトンズビルの 9人といわれ,いずれも有罪とされて服役。兄ダニエルは詩人としても優れている。
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