日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペルオキソ酸」の意味・わかりやすい解説
ペルオキソ酸
ぺるおきそさん
peroxo acid
オキソ酸は、形式的には中心原子にいくつかの酸化物イオンO2-(配位子名オキソ)が配位したものと考えることができるが、このO2-のかわりに過酸化物イオンO22-(配位子名ペルオキソ。ペルは「十分な」、「完全な」を意味するラテン語に由来する接頭語。高度な酸化状態にあることを示す)が配位した形式のものをペルオキソ酸という。たとえばペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソリン酸、ペルオキソクロム(Ⅴ)酸などは、それぞれ、次のようなペルオキソ酸イオン[SO3(O2)]2-、[O3S-O-O-SO3]2-、[PO3(O2)]3-、[Cr(O2)4]3-を含む酸である。これに対し、過――酸とよばれる、過マンガン酸HMnO4、過塩素酸HClO4などはペルオキソを含んだものではなく、中心原子の酸化数が高いものであって、ペルオキソ酸ではない。ペルオキソ酸をたとえば過硫酸、過リン酸などのようによんだことがあるが、これは誤称である。
[中原勝儼]