オキソ酸(読み)おきそさん(英語表記)oxoacid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オキソ酸」の意味・わかりやすい解説

オキソ酸
おきそさん
oxoacid

酸素酸ともいい、有機化学ではヒドロキシカルボン酸のことをいうこともある。形式上、酸化物と水とが結合した組成をもち、中心原子Xの周りにOHあるいはOが配位した構造[XOm-n(OH)n]をもち、一般式HnXOmをとる。たとえば硝酸硫酸は形式的に次の反応で生ずるといえる。


硝酸の構造は窒素原子を中心とする三角形の頂点に3個の酸素原子があり、酸素原子のうちの1個に水素原子が結合した形である。硫酸は、硫黄(いおう)原子を中心にした四面体の頂点に4個の酸素原子があり、そのうちの2個に水素原子が結合した構造と考えられている。

 中心原子の酸化数によって組成と名称は異なる。塩素オキソ酸を例にとると以下のようになる。


[岩本振武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オキソ酸」の意味・わかりやすい解説

オキソ酸
オキソさん
oxygen acid; oxyacid

酸素酸,オキシ酸ともいう。酸素を含む無機酸で,中心原子に結合する原子がすべて酸素であり,酸素の一部または全部に水素がついて水酸基となり,水溶液中でこの水素が解離して酸の性質を与える。硫酸,硝酸,リン酸など無機の重要な酸はほとんど酸素酸であり,塩酸,フッ化水素酸のような水素酸に対比される。酸性酸化物と水との反応によってつくられる。塩素のように種々の原子価をもち,各種の酸素酸をつくるときは,最も一般的な原子価のものを標準にとり,中心原子の元素名をつけて塩素酸,リン酸のように命名する。標準の酸より大きい酸化数の酸は,たとえば過塩素酸のように呼ぶ。酸化数の低いときは低い順に次,亜,次亜接頭語をつけて呼ぶことがある。同じ酸化数であっても,水和度が最大のものをオルト酸,最小のものをメタ酸と呼ぶ。酸素酸中の --O-- を --O--O-- で置換したものをペルオキソ酸という (ペルオキソ硝酸 HNO4 など) 。オルト酸2分子から水1分子を除いた組成の酸には,ピロという接頭語をつけて呼ぶことがある (ピロ硫酸 H2S2O7ピロリン酸 H4P2O7 など) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

マイナ保険証

マイナンバーカードを健康保険証として利用できるようにしたもの。マイナポータルなどで利用登録が必要。令和3年(2021)10月から本格運用開始。マイナンバー保険証。マイナンバーカード健康保険証。...

マイナ保険証の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android