プロピオン酸(読み)ぷろぴおんさん(英語表記)propionic acid

翻訳|propionic acid

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プロピオン酸」の意味・わかりやすい解説

プロピオン酸
ぷろぴおんさん
propionic acid

飽和脂肪酸一つ。プロピオニトリル(プロパンニトリル)を加水分解するか、1-プロパノールプロピルアルコール)を酸化すると得られる。水とよく混じり合うが、ギ酸酢酸と異なり、塩析すると油状物として分離する。エタノールエチルアルコール)、エーテルと任意の割合で混じり合う。エステル化剤として有機合成に用いられるほか、カルシウム塩、ナトリウム塩はカビ防止剤として用いられる。反芻(はんすう)動物は、第一胃中での細菌発酵により、セルロース糖質プロピオン酸に変えてエネルギー源としている。

[廣田 穰 2015年7月21日]


プロピオン酸(データノート)
ぷろぴおんさんでーたのーと

プロピオン酸
  CH3CH2CO2H
 分子式  C3H6O2
 分子量  74.1
 融点   -20.83℃
 沸点   140.80℃
 比重   0.99874(測定温度15℃)
 屈折率  (n)1.38623
 解離定数 1.22×10-5(25℃)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プロピオン酸」の意味・わかりやすい解説

プロピオン酸
プロピオンさん
propionic acid

化学式 C2H5COOH 。脂肪族カルボン酸の一つ。刺激臭を有する無色液体で,沸点 141.1℃。 n -プロパノールの酸化によって得られる。水に可溶。エステル化の試薬として,果実香料の合成などに用いられるほか,ナトリウム塩はカビによる皮膚疾患の治療薬となる。

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