ペンドルトン法(読み)ぺんどるとんほう(英語表記)Pendleton Act

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペンドルトン法」の意味・わかりやすい解説

ペンドルトン法
ぺんどるとんほう
Pendleton Act

1883年に制定されたアメリカ合衆国の連邦公務員法。それ以前、アメリカの公務員の任用は、選挙で勝った側が官職を独占するスポイルズ・システム(党人任用制)によっていた。この制度には政治的腐敗行政非能率などが伴ったため批判が高まり、1881年の、官職を求める一不満分子によるガーフィールド大統領暗殺を直接の契機として、この法律が制定され、これによって、人事委員会が設立された。この委員会は、公開競争試験によって連邦公務員を任用するメリット・システム(資格任用制)を管轄し、大統領の裁量で拡大しうる資格任用官職リストを準備するなどの権限を与えられた。この法律は現在のアメリカ公務員任用制度の基礎をなしている。

横山 良]

『鵜飼・辻・長濱編『比較政治叢書1 公務員制度』(1956・勁草書房)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペンドルトン法」の意味・わかりやすい解説

ペンドルトン法
ペンドルトンほう
Pendleton Civil Service Act

1883年1月 16日に成立したアメリカ連邦公務員任用に関する法律。国家公務員法改革同盟の D.イートンが起草し,連邦上院議員 G.ペンドルトンの提案によって議会可決成立した。 A.ジャクソン大統領以来のスポイルズ・システム (党人任用制) の弊害が J.ガーフィールド大統領暗殺事件で顕在化したため,これを廃止して資格試験により州人口に比例する数の連邦公務員が政治信条や宗教人種などの違いに関係なく選ばれることになった。この法律により公務員の政治献金も禁止され,連邦公務員任用制度が近代化された。

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