ホイットル(読み)ほいっとる(英語表記)Sir Frank Whittle

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホイットル」の意味・わかりやすい解説

ホイットル
ほいっとる
Sir Frank Whittle
(1907―1996)

イギリスの航空技術者、ジェットエンジンの発明者。コベントリーに生まれる。航空士官学校中にガスタービンを応用したジェット推進を着想、卒業後の1930年に特許をとった。その後空軍勤務のかたわらケンブリッジ大学に学ぶなどして研究を進め、1937年には試運転に成功した。ドイツでも並行してハンス・フォン・オハインHans J. P. von Ohain(1911―1998)が独自に開発し、1939年ハインケルHe-178に装着して初のジェット機飛行を行っている。ホイットルのジェット機が初飛行をしたのは1941年5月15日で、グロスターE-28/39単葉単座機の機体を使い、W-1エンジンの推力390キログラム、最大速度は時速544キロメートルだった。ジェットエンジンの推力は急激に増大し、今日のジェット機時代を築いた。この発明によってイギリスは第二次世界大戦後のジェットエンジン先進国となり、技術はアメリカ、ソ連などに広まった。1948年、准将で空軍を退役、BOAC社(ブリティッシュ・エアウェイズの前身)技術顧問、パワー・ジェット社相談役を歴任した。

佐貫亦男

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホイットル」の意味・わかりやすい解説

ホイットル
Whittle, Sir Frank

[生]1907.6.1. ウォリックシャー,コベントリー
[没]1996.8.8. メリーランド,コロンビア
イギリスの航空技術者,飛行機操縦士ジェットエンジン開発者。機械工の家に生まれ,イギリス空軍に少年練習生として入隊空軍士官学校で操縦士の訓練を受け,1928年戦闘機中隊長,1931年から2年間テストパイロットを務め,その後空軍技術学校とケンブリッジ大学で学んだ。技術者としては 1930年ターボジェット・エンジンの特許を取得。 1936年パワージェット社の設立に参加。 1937年最初のジェットエンジンの地上試験を行なった。第2次世界大戦が勃発するとイギリス政府から研究への支援を受け,ホイットルのジェットエンジンは特別設計の機体グロスターE-28/39に装着され,1941年5月 15日初飛行した。 1948年空軍准将で退役,同年ナイトに叙せられ,1986年メリット勲章を受けた。著書に『ジェット』 Jet: The Story of a Pioneer (1953) がある。

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