ターボジェット・エンジン(読み)たーぼじぇっとえんじん(英語表記)turbojet engine

翻訳|turbojet engine

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ターボジェット・エンジン
turbojet engine

航空機に用いるガスタービンエンジン一種ガスタービンは空気を圧縮して取り入れ,そのなか燃料燃焼させて生じた高温高圧ガス出力として取り出す。ターボジェット・エンジンは,このガスの噴流を大量,高速に後方へ噴射し,その反動としての推力を利用する。イギリスのフランク・ホイットルによって 1930年代に発明され,1937年運転に成功した。これを装備したグロスター E28/39は 1941年5月 15日初飛行した。これに先立つ 1939年8月 27日,史上初のジェット機ハインケル He178戦闘機がドイツで飛行した。しかし実用化はされず,1942年7月 18日に飛行したメッサーシュミット Me262が世界最初の実用ジェット機となった。こうして第2次世界大戦中に開発が進んだターボジェット・エンジンは,戦後は民間機にも応用され,1952年イギリスの BOACデハビランド・コメット旅客機を就航させてジェット時代に入った。その後,ターボジェット・エンジンはターボファン・エンジンターボプロップ・エンジンターボシャフト・エンジンなどへ発展する。なお,ターボジェット・エンジンの燃焼ガスには過剰酸素が含まれているので,そのなかにもう一度燃料を吹き込むと再び燃焼が起こり,推力を増加することができる。これをアフタバーナと呼び,超音速ジェット機の多くはアフタバーナ付きターボジェット・エンジンを使用している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ターボジェットエンジン
たーぼじぇっとえんじん
turbojet engine

航空機用タービンエンジンの一種。エンジンでつくりだした高温・高圧のガスのエネルギーを、100%ジェットのエネルギーとして取り出し、その反動を利用して推進力を得るエンジン。初期のジェットエンジンのほとんどはこの形式であった。構造が簡単で重量を軽くできるほか、高速度の排気ガスの反動を利用しているため超音速の飛行に適するが、遷音速以下の飛行では推進効率が悪く、排気騒音が大きいうえ、燃料消費率がよくないという欠点があり、現在ではほとんどが軍用機や使い捨てのエンジン(誘導ミサイル用)、垂直離着陸機の垂直飛行用の補助エンジンとして用いられる。

[落合一夫]


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