日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホックニー」の意味・わかりやすい解説
ホックニー
ほっくにー
David Hockney
(1937― )
イギリスの画家。ブラッドフォードに生まれる。1953年から1957年までブラッドフォード美術学校に学ぶ。1959年から1962年まで王立美術学校でキタイRonald Brooks Kitaj(1932―2007)、コールフィールドらとともに学ぶ。イギリスのポップ・アート第二世代を代表する作家で、1960年代、ルガノ、リュブリャナなどの国際版画展で受賞。アメリカのアイオワ、コロラド、ロサンゼルス、カリフォルニアなどで教え、1960年代の代表作『ニックのプールから上がるピーター』(1966)にみられるアメリカ西海岸の明るい日差しに満ちたプールの絵で若い世代の人気を集める。1974年ルーブル美術館で回顧展開催、同年ホックニーと彼の友人たちの私生活をドキュメンタリー・スタイルで描いた主演映画『彼と彼・とても大きな水しぶき』(ジャック・ハザン監督、1987年日本公開)がつくられた。1977~1978年グラインドボーン・オペラでモーツァルト作『魔笛』の舞台装置と衣装を手がける。1980年代に入りポラロイドコラージュやフォトコラージュを数多く制作するようになる。絵巻物にみられる東洋的空間表現に共感し、1987~1988年映画『中国皇帝との大運河での一日、あるいは、うわべは幻しかし深みもまた然り』を監督し、出演する。1989年(平成1)第1回高松宮殿下記念世界美術賞を受賞。1996年東京都現代美術館にて「デビッド・ホックニー版画展:1954―1995」が開催された。
[斉藤泰嘉]
『デヴィッド・ホックニー著、ニコス・スタンゴス編、小山昌生訳『ホックニーが語るホックニー』(1984・PARCO出版局)』▽『ロナルド・B・キタイ他文、西野嘉章訳『ホックニー画集――ひとつの回顧』(1988・リブロポート)』▽『マルコ・リヴィングストン著、関根秀一訳『ホックニーの世界』(1990・洋販出版)』▽『デイヴィッド・ホックニー著、中原佑介監修『デイヴィッド・ホックニー』(1990・新潮社)』▽『デイヴィッド・ホックニー著、ニコス・スタンゴス編、斉藤泰嘉訳『僕の視点――芸術そして人生』(1993・美術出版社)』▽『東京都現代美術館編『デイヴィッド・ホックニー版画 1954―1995』(1996・淡交社)』▽『小学館編・刊『週刊美術館49 ウォーホル ホックニー』(2000)』