ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボスコビッチ」の意味・わかりやすい解説
ボスコビッチ
Boscovich, Ruggero Giuseppe
[没]1787.2.13. ミラノ
イタリアの天文学者,数学者,自然哲学者。イエズス会士。ローマのコレギウム・ロマーヌムで数学と物理学を学ぶ。1740年,同コレギウムの数学教授。1764年パビア大学数学教授。ミラノ天文台台長。イタリアでイエズス会士が迫害されるようになり,1773年フランス王の招きでパリに移住,海軍に奉職。1783年イタリアに戻る。天文学では,3点における観測値から惑星の赤道面,軌道を決定するのに初めて幾何学的方法を与え,また 1769年,金星観測のためのカリフォルニア遠征隊を指揮。測地学でも先駆的役割を果たし,特に地球の形と大きさに強い関心をもって,1750年,みずから子午線測量を行なった (ローマ―リミニ間) 。ニュートンの万有引力概念を独自に発展させ,交互的に広がる引力・斥力の場に物質粒子を還元して諸現象を説明しようとした。この考えはジョセフ・プリーストリーらの物質論,マイケル・ファラデーの力線概念の形成に大きな影響を与えた。光学,天文学,重力の問題,気象学,三角法など多岐にわたる 70に及ぶ論文を発表した。主著『自然哲学の理論』Theoria philosophiae naturalis (1758) 。
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