佩文韻府(読み)ハイブンインプ(その他表記)Pèi wén yùn fǔ

デジタル大辞泉 「佩文韻府」の意味・読み・例文・類語

はいぶんいんぷ〔ハイブンヰンプ〕【佩文韻府】

中国韻書。106巻。清の康熙こうき勅命により、張玉書らが撰。1711年成立。拾遺は1716年張廷玉らが撰。古典詩文の2字の語彙中心に、脚韻(106韻)によって配列し、出典用例とを示したもの。

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精選版 日本国語大辞典 「佩文韻府」の意味・読み・例文・類語

はいぶんいんぷ【佩文韻府】

  1. 中国の類書。正編一〇六巻(のち四四四巻に改訂)。清の康熙五〇年(一七一一)に張玉書らが勅撰。拾遺も一〇六巻で、康熙五九年に張廷玉らが勅撰。古典の詩文の二字の語彙を中心に脚韻(一〇六韻)の順序に大書配列、内容ごとに事類に分け、小字で出典および用例を示す。詩文作成を目的とし、出典の考証は厳密でない。

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改訂新版 世界大百科事典 「佩文韻府」の意味・わかりやすい解説

佩文韻府 (はいぶんいんぷ)
Pèi wén yùn fǔ

中国,清代,康煕帝命令で作られた詩文用例事典。張玉書(1642-1711)らが編集した。2字の熟語を主に,4,5字ぐらいまでの文字の連なりについて経・史・子・集のいわゆる〈四部〉について用例を集めた。類書と呼ばれるものの一つである。〈佩文〉は康煕帝の書斎の名。1704年(康煕43)に編集を始め1711年完成した。熟語等はその最後の文字が同じであるものを1ヵ所に集め,全部で106のいわゆる〈平水韻〉によって分類配列してあるため全体も106巻,《正集》のほか同じ巻数の《拾遺》があるので全212巻,《拾遺》は1720年に成った。最後の字すなわち親字の数にして1万0257字を収めるという。最後の字を中心にして整理するのは押韻便宜のためである。この体裁の用例事典は古くから存在したが,本書はとくに元の陰時夫の《韻府群玉》,明の凌穉隆の《五車韻瑞》を中核に,それらに収められないものを増補して作り上げた。いちいちの熟語等はまず字数順,ついで〈四部〉の順に並べられたうえ,さらにその使用例がまた〈四部〉の順に配列される。解説は親字についてあるだけで,使用例についてはない。多人数の比較的短期間での共同作業であったため誤りも少なくはないが,出典から熟語の意味を考えていくという普通の辞典の役にも立てることができる。清朝で科挙に際しての詩文押韻の基準となった《佩文詩韻》は,《佩文韻府》から詩文の用例を除いた親字の部分だと考えていい。
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百科事典マイペディア 「佩文韻府」の意味・わかりやすい解説

佩文韻府【はいぶんいんぷ】

中国の詩文用例事典。清の張玉書〔1642-1711〕らが康煕帝の命により編纂(へんさん)。106巻(1711年刊),拾遺106巻(1720年刊)。佩文は康煕帝の書斎名による。45万語以上の経史子集語彙(ごい)を106韻に分類,配列。作詩家のための韻書であるが,古典語彙の用例を知るには最大のもの。武英殿版のほか数版あり,日本でも1882年鳳文館,1908年吉川弘文館が刊行。→類書
→関連項目平仄

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「佩文韻府」の意味・わかりやすい解説

佩文韻府
はいぶんいんぷ

中国の辞書。106巻(のち、444巻に改訂)。清(しん)の康煕(こうき)帝の命により張玉書(ちょうぎょくしょ)ら多数の学者が編纂(へんさん)し、1711年(康煕50)刊行。中国の経書や古典詩文にみえる熟語、成句を広く集め、おのおのに出典を示し、末尾一字により106韻の順序に並べたもの。たとえば、平声(ひょうしょう)真韻の「人」の項には「大人」「聖人」「無名人」「旁若(ぼうじゃく)無人」などの語句、「秋士・春人」などの対句が収められている。詩文をつくる際の、また古典語の用例を知るための参考書としてもっとも完備したものである。現在では、語句の最初の一字で引く索引のついたテキストがある(1937年上海(シャンハイ)商務印書館、1967年台湾商務印書館出版)。

[平山久雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「佩文韻府」の意味・わかりやすい解説

佩文韻府
はいぶんいんぷ
Pei-wen yun-fu

中国の韻による語彙集。清の康煕帝の勅命による張玉書ら 76人の編。 106巻,拾遺 106巻。康煕 50 (1711) 年刊。拾遺は同 55年成立。2字から4字の熟語の用例を経,史,子,集の古典から広く採録し,いちばん下の字の韻によって 106韻に分けて配列,約 45万の語彙を収める。もともと詩をつくる際の便宜のために編集されたものであるが,今日では多く古典の語彙の用例を検索するために利用されている。「佩文」は康煕帝の書斎の名「佩文斎」による。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「佩文韻府」の解説

『佩文韻府』(はいぶんいんぷ)

中国の字書。康熙(こうき)帝の命により張玉書らが編纂。正集106巻,拾遺106巻。中国の古文献より広く熟語を集め,その最後の字の韻により106韻に分けて配列し,出典を注記した。本来は詩作の便のためにつくられたもの。

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旺文社世界史事典 三訂版 「佩文韻府」の解説

佩文韻府
はいぶんいんぷ

清の聖祖(康熙 (こうき) 帝)勅選の熟語成語字典
1711年完成。経史子集から広く語彙を集め,それを106韻によって分類した。正集・拾遺を合わせて444巻。佩文は紫禁城内の聖祖の書斎の名。

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世界大百科事典(旧版)内の佩文韻府の言及

【査慎行】より

…清代の詩壇で初めて本格的に宋詩,なかんずく蘇軾(そしよく),陸游から学び,後輩の趙翼からは,王士禎をさしおいて呉偉業以来の第一人者とされる。学問上の業績としては,《補註東坡編年詩》の著述と《佩文韻府(はいぶんいんぷ)》編集への参加がある。【松村 昂】。…

※「佩文韻府」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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