中国,清代,康煕帝の命令で作られた詩文用例事典。張玉書(1642-1711)らが編集した。2字の熟語を主に,4,5字ぐらいまでの文字の連なりについて経・史・子・集のいわゆる〈四部〉について用例を集めた。類書と呼ばれるものの一つである。〈佩文〉は康煕帝の書斎の名。1704年(康煕43)に編集を始め1711年完成した。熟語等はその最後の文字が同じであるものを1ヵ所に集め,全部で106のいわゆる〈平水韻〉によって分類配列してあるため全体も106巻,《正集》のほか同じ巻数の《拾遺》があるので全212巻,《拾遺》は1720年に成った。最後の字すなわち親字の数にして1万0257字を収めるという。最後の字を中心にして整理するのは押韻の便宜のためである。この体裁の用例事典は古くから存在したが,本書はとくに元の陰時夫の《韻府群玉》,明の凌穉隆の《五車韻瑞》を中核に,それらに収められないものを増補して作り上げた。いちいちの熟語等はまず字数順,ついで〈四部〉の順に並べられたうえ,さらにその使用例がまた〈四部〉の順に配列される。解説は親字についてあるだけで,使用例についてはない。多人数の比較的短期間での共同作業であったため誤りも少なくはないが,出典から熟語の意味を考えていくという普通の辞典の役にも立てることができる。清朝で科挙に際しての詩文押韻の基準となった《佩文詩韻》は,《佩文韻府》から詩文の用例を除いた親字の部分だと考えていい。
執筆者:尾崎 雄二郎
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中国の辞書。106巻(のち、444巻に改訂)。清(しん)の康煕(こうき)帝の命により張玉書(ちょうぎょくしょ)ら多数の学者が編纂(へんさん)し、1711年(康煕50)刊行。中国の経書や古典詩文にみえる熟語、成句を広く集め、おのおのに出典を示し、末尾一字により106韻の順序に並べたもの。たとえば、平声(ひょうしょう)真韻の「人」の項には「大人」「聖人」「無名人」「旁若(ぼうじゃく)無人」などの語句、「秋士・春人」などの対句が収められている。詩文をつくる際の、また古典語の用例を知るための参考書としてもっとも完備したものである。現在では、語句の最初の一字で引く索引のついたテキストがある(1937年上海(シャンハイ)商務印書館、1967年台湾商務印書館出版)。
[平山久雄]
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中国の字書。康熙(こうき)帝の命により張玉書らが編纂。正集106巻,拾遺106巻。中国の古文献より広く熟語を集め,その最後の字の韻により106韻に分けて配列し,出典を注記した。本来は詩作の便のためにつくられたもの。
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…清代の詩壇で初めて本格的に宋詩,なかんずく蘇軾(そしよく),陸游から学び,後輩の趙翼からは,王士禎をさしおいて呉偉業以来の第一人者とされる。学問上の業績としては,《補註東坡編年詩》の著述と《佩文韻府(はいぶんいんぷ)》編集への参加がある。【松村 昂】。…
※「佩文韻府」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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