食肉目ネコ科の哺乳類。耳先に長毛があり,尾の短いヤマネコ。カナダ南部からバハ・カリフォルニア,メキシコ中部まで分布。体長65~105cm,尾長11~19cm,肩高45~58cm,体重4~15kg。体ががんじょうで四肢が太く長く,頭部が小さいなどオオヤマネコに似るが体は小型で,尾の上縁に黒斑があり,先端に白い毛房がある。体色はふつう褐色をおびた地に灰褐色と白色の斑紋があるが,淡黄色から暗褐色のものまで変化に富む。森林,半砂漠,やぶ地などに単独ですみ,茂み,樹洞,岩の割れ目などを休息場とする。ほとんど夜行性でひと晩に3~11kmほど歩き回る。木登りはうまいが地上生で,ウサギ,ネズミ,鳥を主食とし,牧場の子ウシや子ヒツジなどをも襲い,冬にはシカなどもとらえる。狩りは忍び寄りによって行い,至近距離から突然跳びかかり,獲物の首の背後からかむ。妊娠期間60~70日,1産1~6子,ふつう3子を生む。子は一年中見られるが,春に多い。寿命は飼育下で32年4ヵ月の記録がある。
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱食肉目ネコ科の動物。アカオオヤマネコともいう。カナダ南部からメキシコの森林、沼沢地、岩場、砂漠などに生息する。体長75~100センチメートル、尾長10~18センチメートル、体重6.8~9.1キログラム。体は淡褐色から赤褐色まで変化に富むが、尾の上面は黒く下面は白っぽい。単独で生活し夜行性で、アナウサギ、ノネズミ、リスを主食とする。木登りや泳ぎもうまい。行動圏は食物量によって異なり、直径8~80キロメートルである。岩場や樹洞などに巣をつくり、普通2子を産むが4子のこともまれではない。一年中出産するが、おもな発情期は12月から翌年4月で、5~6月に出産が多い。妊娠期間は50~60日。天敵は成獣ではピューマ、幼獣ではキツネ、ワシミミズクで、寿命は12年ほどである。
[今泉忠明]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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