日本大百科全書(ニッポニカ) 「オジロジカ」の意味・わかりやすい解説
オジロジカ
おじろじか / 尾白鹿
white tailed deer
Virginia deer
[学] Odocoileus virginianus
哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目シカ科の動物。バージニアジカ、シラオジカともよばれる。北アメリカから南アメリカに分布する。産地により39亜種にも分けられ、大きさも亜種により差がある。頭胴長85~205センチメートル、体高55~110センチメートル、体重22~205キログラム。雄にだけある角(つの)は前方にカーブし、大きなものでは角の先端の間隔が79センチメートルもある。体色は季節によって異なり、夏毛では明るい赤褐色であるが、冬毛では暗灰褐色となる。体の下側、口吻(こうふん)、のど、目の周囲、尾の下面は白色であるが、体部に白斑(はくはん)はない。尾は10~35センチメートルあり、走るときには立てられるため、下側の白色の部分が鮮やかに目に映る。ニホンジカにみられるような臀部(でんぶ)の白斑はない。
森林にすみ、単独もしくは小群で暮らしている。気候の暑い地方では定まった繁殖期はないが、温帯地方では発情期は11~12月で、この時期雄は激しく争う。妊娠期間は196~210日。1産2子、ときに3子を産む。子には白斑があり、体重は2.2~6.6キログラム。子は雄のほうが雌より20%ほど大きい。哺乳期間は短く、わずか1か月から2か月たらずである。寿命は15~20年。野生では11~12年とみられる。ニュージーランドやヨーロッパにも移入されている。本種に近似したオグロジカO. hemionusは名前のとおり尾先が黒色で、尾の周りに白斑があり、別名ミュールジカともいう。
[増井光子]