齧歯類(読み)げっしるい(英語表記)rodents

精選版 日本国語大辞典 「齧歯類」の意味・読み・例文・類語

げっし‐るい【齧歯類】

〘名〙 哺乳類齧歯目に属する動物総称ネズミリスなど。〔博物図教授法(1876‐77)〕

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デジタル大辞泉 「齧歯類」の意味・読み・例文・類語

げっし‐るい【×齧歯類】

齧歯目の哺乳類の総称。のみ形をした一対門歯は絶えず伸びつづけるので、常に物をかじってすり減らす。犬歯はない。哺乳類では最も種類が多く、リスネズミヤマアラシの3亜目に大別され、約1600種が知られる。ニュージーランド南極大陸を除く世界各地に分布

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「齧歯類」の意味・わかりやすい解説

齧歯類
げっしるい
rodents

哺乳(ほにゅう)綱齧歯目に属する動物の総称。この目Rodentiaの仲間は小形で、切歯(門歯)が上下とも1対あり長大で根がなく終生伸び続け、堅いエナメル質がその前面にしかないため、のみ状を呈し、クルミ、クリのような堅い殻の実や種子をかじるのに適する。犬歯と前位の前臼歯(ぜんきゅうし)がなく、切歯の後ろに歯のない部分(歯隙(しげき))があり、ここに口唇が入り込んでいて、かじりかすが奥に入るのを防ぐ。左右の下顎(かがく)骨は普通癒着せず可動性で、切歯の先端を自由に開閉できるため、切歯をそろえてどんぐりなどの殻の割れ目に差し込み、それを開いて巧みに殻を割る。あごの関節と、一部が吻(ふん)側に達する強大な咬筋(こうきん)は、下顎を前方に動かし、下の切歯をのみのように使うのに適する。臼歯は繊維の多い食物をすりつぶすのに適し、歯冠部が長くしばしば終生成長する。肘(ひじ)の関節は自由に動き、多くは蹠行(しょこう)性である。指は3~5本で鉤(かぎ)づめを備える。通常は鱗(うろこ)がある尾は、敵に押さえられると簡単に切れたり皮がむけることが多く、護身に役だつ。胃は単一、普通は盲腸がある。精巣は多くは鼠径(そけい)部に位置し、陰茎には陰茎骨がある。多くは植物食で、一般に繁殖力が強く、成長が早い。人間について分布を広げた住家性のネズミを除いても、南極大陸とニュージーランド以外の世界中に分布し、熱帯から寒帯までの砂漠、草原、森林、高山、ツンドラなどにすむ。穴にすみ地上で食物をとるものが多いが、もっぱら地下にすむメクラネズミ、樹上生のリス、水生のミズネズミ、ビーバー、跳躍するトビネズミ、滑空するウロコオリス、ムササビなど適応放散が著しい。農作物を食害し、伝染病、寄生虫を媒介するものもあるが、毛皮獣(チンチラ、ビーバー、リスなど)や実験動物(テンジクネズミ、マウス、ラットなど)として重要なものがある。祖先は暁新世に北アメリカにいたパラミス(パラミス科)である。現生哺乳類中もっとも種類が多くその約4割を占め、最低1600種あり、普通は次の3亜目28科に分類されるが、系統の不明なものが多く、分類は混乱している。

(1)リス亜目 ヤマビーバー科(パラミス科に近い)、リス科、ホリネズミ科、ポケットネズミ科、ビーバー科、ウロコオリス科、トビウサギ科の7科がある。

(2)ネズミ亜目 ネズミ科(キヌゲネズミ、メクラネズミ、タケネズミ、トゲヤマネなどを別の科とすることがある)、ヤマネ科、サバクヤマネ科、オナガネズミ科、トビネズミ科の5科がある。

(3)ヤマアラシ亜目 新世界にキノボリヤマアラシ科、テンジクネズミ科、カピバラ科、パカラナ科、パカ科、チンチラ科、カプロミス科、オクトドン科、クテノミス科、チンチラネズミ科、エキミス科の11科、旧世界にヤマアラシ科、アフリカアシネズミ科、イワネズミ科、デバネズミ科、グンディ科の5科がある。しかし新世界の11科をテンジクネズミ亜目とし、旧世界の5科中グンディ科をリス亜目に含め、他の4科を所属不明とみる人もある。

[今泉吉典]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「齧歯類」の意味・わかりやすい解説

齧歯類
げっしるい
Rodentia; rodent

哺乳綱齧歯目に属する動物の総称。物をかじるのに適した歯と顎を特徴とし,多くは草食性であるが,雑食性のものもある。ビーバーリスハツカネズミレミングトビネズミヤマアラシチンチラなどが含まれる。南極大陸とニュージーランドを除く世界各地に分布し,オーストラリア以外では種類数,個体数も多く,外形,習性ともに変化に富み,約 2400種が知られている。一般に小型であるが,繁殖力が非常に強く,いわゆるねずみ算的にふえるため,農作物や貯蔵食糧,山林などに大損害を与えることが多い。また,ペストなどの病原菌の中間宿主となるものも知られている。 (→ネズミ )  

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世界大百科事典 第2版 「齧歯類」の意味・わかりやすい解説

げっしるい【齧歯類 rodent】

固い植物の実や草を食べるのに適したかぎづめをもった小型の哺乳類で齧歯目Rodentiaに属する。
[形態]
 体重は最小がカヤネズミの5~7g,最大がカピバラの約50kg。ウサギ目に似るが切歯(門歯)が上下とも1対しかない。切歯は長大で,終生根ができず弧を描いてのび続ける。大部分が歯質よりなり,固いエナメル質がその前面にしかないため,先端はのみ状を呈し,クルミやマツの実のような固い殻をかじって穴を開けるのに適する。

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百科事典マイペディア 「齧歯類」の意味・わかりやすい解説

齧歯類【げっしるい】

鉤爪(かぎづめ)を有する小型の哺乳(ほにゅう)類。門歯は上下とも1対,無根で終生伸び続け,先端は鑿(のみ)状。食物をかむとき下顎は前後に動く。現生哺乳類中最も種類が多く,1700種以上。世界に広く分布し,海岸から高山,熱帯雨林から砂漠まで,生息環境は非常に幅広い。リス科,ビーバー科,トビウサギ科,ネズミ科,ヤマネ科,トビネズミ科,ヤマアラシ科,テンジクネズミ科など29科がある。

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