ワシミミズク(その他表記)Bubo bubo; Eurasian eagle-owl

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ワシミミズク」の意味・わかりやすい解説

ワシミミズク
Bubo bubo; Eurasian eagle-owl

フクロウフクロウ科。全長 58~71cmもある最大級のフクロウの一種。全身が褐色で,上面と背面には黄白色と黒褐色の斑が,胸部には黒褐色の太い縦斑が,腹部には細長い黒褐色の縦斑がある。羽角は体のわりに短い。虹彩は赤橙色。脚や趾(あしゆび)も羽毛に覆われている。フクロウ科では特に繁殖分布域が広く,ヨーロッパ北アフリカからユーラシア大陸,東アジアサハリン島,日本に及ぶ。生息環境は多様で,平地から森林限界まで針葉樹林混交林,地中海地方の低木林,ステップ砂漠なども含まれる。おもに夜間活動して哺乳類や鳥類をとる。森林内外の急な崖地の棚状部,巨木の樹洞,カラス類や猛禽類古巣などに営巣する。日本では,北海道原生林に少数が生息し,繁殖するほか,五島列島奄美大島に別亜種の古い記録がある。大型の猛禽類のため密猟や生息環境の悪化による絶滅が懸念され,1997年国内希少野生動植物種に指定された。(→ミミズク

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改訂新版 世界大百科事典 「ワシミミズク」の意味・わかりやすい解説

ワシミミズク (鷲木菟)
eagle owl
Bubo bubo

フクロウ目フクロウ科の鳥。全長約72cm。とくに雌は大きく,翼の開張1.8m,体重4kgに達するものがある。極地圏を除くユーラシア大陸の大部分と北アフリカに分布する。日本では迷鳥として数回記録があったが,1994年に北海道での繁殖が確認された。人里離れた大森林,岩場,荒地に留鳥としてすみ,一年中テリトリーをもっている。羽色は赤みのある黄褐色かクリーム色で全体に不規則な縞や斑がある。体が大きく力が強いので,もっとも強力な夜の猛禽(もうきん)ということができる。おもな食物はノウサギやネズミなどの中・小型の哺乳類だが,鳥類もよくとらえる。体重13kgのシカを倒した記録があり,キツネ,テン,イタチなどの肉食獣,ガンなど大型の鳥類,ハヤブサ,ノスリなどの猛禽さえも捕食する。巣はテリトリーの中の岩棚,大木のうろ,カラスの古巣などから条件のよい1ヵ所を選び,巣材はほとんど使わず,3~5月ころ1腹2~3個の卵を産む。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ワシミミズク」の意味・わかりやすい解説

ワシミミズク
わしみみずく / 鷲木菟
eagle owl
[学] Bubo bubo

鳥綱フクロウ目フクロウ科の鳥。全長70センチメートルに達するもっとも大形のフクロウ類の一つで、寒帯を除くユーラシア全土とアフリカ北部に分布する。朝鮮半島と樺太(からふと)(サハリン)、南千島でも繁殖するが、北海道や本州ではまれに冬鳥として渡来するのみである。全身が褐色で、濃褐色の斑(はん)が散在する。大きな羽角があり、目の色は赤褐色。森林から岩山までさまざまな環境のなかに生息することができ、夜間に、見張り場とする樹枝や岩壁の上で待ち伏せして、ノウサギやキジ類などを捕獲し、自分の数倍の体重をもつ13キログラムのシカを殺した例もある。岩棚や木の洞を巣とし、2~3卵を産んで35日間抱卵する。なお、南北アメリカにはやや小形のアメリカワシミミズクB. virginianusが生息する。

[竹下信雄]


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百科事典マイペディア 「ワシミミズク」の意味・わかりやすい解説

ワシミミズク

フクロウ科の鳥。翼長45cm。背面は赤褐色で濃色の斑紋がある。虹彩(こうさい)は黄だいだい。ユーラシア大陸の中部以南および北アフリカで繁殖。日本では迷鳥とされてきたが,近年,北海道での繁殖が確認された。岩上や巨木の穴を巣とし,ネズミ,ウサギ,鳥などを捕食。夜行性。大きな太い声で鳴く。絶滅危惧IA類(環境省第4次レッドリスト)。
→関連項目フクロウミミズク(鳥類)

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