改訂新版 世界大百科事典 「ボージュラ」の意味・わかりやすい解説
ボージュラ
Claude Favre de Vaugelas
生没年:1585-1650
フランスの文法家。ルイ13世時代フランス語の純化に努め,絶対主義王政下においてひとつの規範となる言語の輪郭を描くことに貢献した。フランス東部サボア地方の出身。若くしてパリに出,ヌムール公や王弟ガストン・ドルレアンの宮廷に仕え,他方ランブイエ侯爵夫人のサロンにも出入りしたといわれる。パリの貴族,文人との交際によってことばへの関心が培われた。王弟の反逆に連座し一時その年金を失ったが,宰相リシュリューに才を認められて1634年アカデミー・フランセーズに招かれ,辞典編集をゆだねられた。47年に《フランス語に関する覚書Remarques sur la langue française》を上梓。この書はアカデミーでの議論をもとに,明晰・端正な表現を規準としてなされた,語彙,語形,統辞,文体にわたる諸考察をまとめたもので,近代フランス語規範文法の礎石とみなされている。著述としてはこのほか,ローマ史家クインティウス・クルティウス《アレクサンドロスの生涯》の翻訳などがある。
執筆者:井村 順一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報