改訂新版 世界大百科事典 「ポモ族」の意味・わかりやすい解説
ポモ族 (ポモぞく)
Pomo
北アメリカのカリフォルニア文化領域,現在のアメリカ合衆国カリフォルニア州中部のサクラメント川支流のロシア川流域からコースト・レーンジズ(海岸山脈),太平洋岸におよぶ地域に居住していたアメリカ・インディアン。言語学的にはホカン語系に属し,部族名は彼らの言葉で〈人々〉の意味。伝統的な住居は丸太の骨組みを樹皮でおおった半地下式の円錐形であった。生業基盤は堅果類,禾本科植物の種子などの採集,サケなどの魚類の漁労,シカ・ノウサギの狩猟であった。堅果類(どんぐり)の利用のために精巧な籠が編まれ,運搬,貯蔵,あく抜き処理,調理に種々の形態の籠が使用された。
現在もカリフォルニア州中部ユカイア市付近に住んでおり,人口は1960年代の終りに約900人を数えた。物質文化の面では周辺のアメリカ人に同化しているが,伝統的な宗教儀礼が復活し,また,籠細工を主とする伝統的な工芸品も製作されている。
執筆者:小谷 凱宣
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報