日本大百科全書(ニッポニカ) 「マズルカ」の意味・わかりやすい解説
マズルカ
まずるか
mazur ポーランド語
mazurek ポーランド語
mazurka 英語
mazurka フランス語
Mazurka ドイツ語
ポーランドの民族舞踊。名称は、マゾフシェ地方の人々(マズル)が踊っていたことに由来する。多くの種類があり、それぞれ速度、ステップ、雰囲気が異なるが、一般にはオベルタスobertas(非常に速く旋回する)、マズル(中庸の速さ)、クヤビアクkujaviak(ゆっくりとした動き)などが知られている。いずれも三拍子で、二拍目か三拍目にアクセントが置かれる。伴奏楽器はフィドル(バイオリン)とドゥダ(一種のバッグパイプ)。また、歌われることもあった。
マズルカは農民から上流階級へと伝わり、17世紀ごろから器楽曲としてポーランド周辺の国々に伝わっていくが、19世紀に入って、とくにショパンを通じてヨーロッパに広まる。ショパンには、この舞曲特有の旋律やリズム、さらには長調と短調の間を揺れ動く和声などを、独自の様式と結び付けた詩情豊かな約50曲のピアノ作品がある。その他の作曲家としては、ポーランドのシマノフスキ、ポーランド以外ではリスト、フォーレ、スクリャービンなどがいずれもピアノ曲をつくっている。
[関根敏子]