ポントリャーギン(読み)ぽんとりゃーぎん(英語表記)Лев Семёнович Понтрягин/Lev Semyonovich Pontryagin

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポントリャーギン」の意味・わかりやすい解説

ポントリャーギン
Pontryagin, Lev Semënovich

[生]1908.9.3. トルブチェフスク
[没]1988.5.3.
ソ連数学者。家庭が貧しかったので,4年制の小学校で初等教育を受ける。 14歳のとき爆発事故のため失明以後,母のタチャーナが彼のために本を読んだり,ノートをつくったりしたという。 1925年,モスクワ大学入学。数学のあらゆる方面に興味を示し,なかでも位相幾何学に深い関心をもち,P. S.アレクサンドロフの指導を受ける。モスクワ大学卒業 (1929) ,モスクワ大学教授 (35) 。学生時代すでにアレクサンドロフの双対定理を精密化した論文を発表。その後,次元論,位相群論と研究を進め,これらの成果は歴史的名著『連続群論』 (38) にまとめられた。この本は 41年にスターリン賞を受けた。 30年代に入ると,常微分方程式の研究も始め,52年から振動論,自動制御理論のセミナーを主宰。 56年から始る自動制御の最適過程の研究のなかで,いわゆる「ポントリャーギンの最大値原理」を発見。 61年には,常微分方程式とその応用の研究によってレーニン賞を与えられた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポントリャーギン」の意味・わかりやすい解説

ポントリャーギン
ぽんとりゃーぎん
Лев Семёнович Понтрягин/Lev Semyonovich Pontryagin
(1908―1988)

ソ連の数学者。モスクワ生まれ。13歳のときの爆発事故で両眼失明。モスクワ大学でアレクサンドロフに位相幾何を学び、1935年からモスクワ大学とステクロフ研究所に属した。位相群論のポントリャーギン双対性や位相幾何のポントリャーギン特性類などが有名で、『連続群論』(1938)や『位相幾何学の基礎』(1947)は各国語に翻訳されている。一方、物理学者のアンドロノフAleksandr Andronov(1901―1952)と協力して微分方程式の応用を研究、のちに『最適過程の数学的方法』(1961)でレーニン賞受賞。ソ連の数学界においては、反ユダヤ志向の持ち主として知られた。

[森 毅]

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