日本大百科全書(ニッポニカ) 「マスクラット」の意味・わかりやすい解説
マスクラット
ますくらっと
musk rat
[学] Ondatra zibethicus
哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目キヌゲネズミ科の動物。北アメリカに広く分布している。沼沢地、湖、河川など水辺にすみ、水生植物を主食としているが、貝類、カエル、魚類なども食べる。岸辺に巣をつくり、出入口は水中にある。頭胴長25~36センチメートル、尾長20~28センチメートル、体重1~1.8キログラム。尾は長くて扁平(へんぺい)、尾の付け根にじゃ香musk臭を放つ1対の腺(せん)があるのが名の由来で、ニオイネズミともよばれる。後ろ足の指に硬毛があり、水かきの役割を果たしている。妊娠期間22~30日。4~8月、暖地では冬にも出産し、1産1~11子。乳頭は3対。毛皮動物としてヨーロッパなどへも移入されて飼育されたが、各地で広く野生化もしている。日本でも第二次世界大戦中飼育されていたが、逃げ出したものが関東地方で野生化している。毛皮生産では旧ソ連が最大であった。
[宮尾嶽雄]