日本大百科全書(ニッポニカ) 「マダラサソリ」の意味・わかりやすい解説
マダラサソリ
まだらさそり / 斑蠍
[学] Isometrus europaeus
節足動物門クモ形綱サソリ目キョクトウサソリ科に属する陸生動物。体長は雌4センチメートル前後、雄7センチメートルに達する中形のサソリ。背面には黄色の地に黒褐色の斑紋(はんもん)が中体部で規則的に並ぶ。腹面は淡黄色。後腹部は黄色で黒褐色の斑紋がある。体部や触肢は他種に比べて繊細な形をしている。夜行性で、昼間は石の下、石垣の間などに潜んでいる。家屋内にもしばしば侵入するが、毒性は低いので致命的な被害を与えることはない。世界の亜熱帯、熱帯地方に広く分布し、ファーブルの『昆虫記』のなかでも弱毒の普通種として記述されている。日本では沖縄県の石垣島、宮古島に産する。小笠原(おがさわら)諸島の父島、母島に産するものはサイパン島からの人為的移入といわれている。和名は岩川友太郎の命名(1906)による。
[服部畦作]