マティルダ

百科事典マイペディア 「マティルダ」の意味・わかりやすい解説

マティルダ

イングランドヘンリー1世の娘。1114年神聖ローマ帝国皇帝ハインリヒ5世と結婚。1125年夫の死により帰国。ヘンリー1世の王位相続人に指名され,1128年プランタジネット家のアンジュー伯ジョフロアと再婚し,アンリ(のちのヘンリー2世)を生んだ。父王の死後王位を主張するスティーブンに対してイングランドに攻め込み,18年間に及ぶ内乱となった。1153年王位をスティーブンに認める代わりに彼の死後息子のアンリが継ぐことで妥協が成立し,プランタジネット朝成立の基礎をつくった。晩年ノルマンディーで引退生活を送った。

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改訂新版 世界大百科事典 「マティルダ」の意味・わかりやすい解説

マティルダ
Matilda
生没年:1102-67

イングランド王ヘンリー1世の娘。1114年神聖ローマ皇帝ハインリヒ5世と結婚したが,25年夫の死により帰国,男子を失ったヘンリー1世の王位相続人に指名された。28年アンジュー伯ジョフロアと再婚,男子アンリ(のちのヘンリー2世)を産む。35年ヘンリー1世が死に,従兄でブロア伯の弟スティーブンが王を称したのに対し,みずからの王位継承を主張してイングランドに攻め込み,18年間にわたる内乱を引き起こした。彼女はのち後事を息子に託してノルマンディーに隠退するが,53年スティーブンの王位を認める代りに,彼の死後はマティルダの子アンリが王位を継ぐことを条件に和約が成立した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マティルダ」の意味・わかりやすい解説

マティルダ
Matilda; Maud

[生]1102. ロンドン
[没]1167.9.10. ノルマンディー,ルーアン近郊
イングランド王ヘンリー1世の娘。モードとも呼ばれる。 1114年神聖ローマ皇帝ハインリヒ5世と結婚。 1125年夫が没し,1128年フランスのアンジュー伯ジョフロアと再婚,ヘンリーを産む。 1135年父王ヘンリー1世の死により,従兄のスティーブンが王位を称したのに対し,王位継承権を主張し,1139年イングランドに侵入,長年にわたる内乱を引き起こした。 1141年スティーブンを捕え,一時王国の支配権を握ったが,高慢と圧政に反対したロンドン市民に追われた。内乱は継続したが,1153年和を結んでスティーブンの王位を承認。翌 1154年彼が死んだため,子のヘンリーを同2世として王位につけ,プランタジネット朝の基を開いた。

マティルダ
Matilda of Canossa

[生]1046. ルッカ
[没]1115.7.24. ボンデーノ
トスカナ侯ボニファチオとロートリンゲン女伯ベアトリーチェの娘。マチルダとも表記される。トスカナ,ロンバルディア,ロートリンゲンに広大な領地をもっていた。教皇と皇帝の叙任権論争で教皇を支持し,1077年マティルダ所有のカノッサ城で起こった神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世屈服は有名(→カノッサの屈辱)。死に際して教会に広大な領地を寄進したが,その領地の帰属をめぐって教皇と皇帝の間で長期の紛争が続いた。

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世界大百科事典(旧版)内のマティルダの言及

【ノルマン朝】より

…しかし彼の息子ウィリアムが1120年不慮の海難で水死したため,ヘンリー1世の死後王位をめぐる闘争が生じた。ヘンリー1世は生前その娘の,神聖ローマ皇帝ハインリヒ5世の寡婦でフランスのアンジュー伯ジョフロアと再婚していたマティルダを後継者に定めていたが,王の死後,彼の甥でフランスのブロア伯の弟スティーブンが一部の貴族とロンドン市民の支持を得て,いち早く即位(存位1135‐54)した。そのため王位を主張するマティルダとの間に18年にわたる大内乱が生じた。…

【ヘンリー[2世]】より

…在位1154‐89年。父はフランスの有力貴族アンジュー伯ジェフリー,母マティルダはイングランド王でかつノルマンディー公ヘンリー1世の娘で,はじめドイツ皇帝ハインリヒ5世と結婚したが死別した。ヘンリー2世は父方と母方から広大な所領を相続し,さらにフランス王ルイ7世の妃であったエレアノールと結婚して彼女の相続するアキテーヌ侯領を合わせ,西のピレネーから南フランスに及ぶ〈アンジュー帝国〉をつくりあげた。…

※「マティルダ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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