マリウーポリ(その他表記)Mariupol

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マリウーポリ」の意味・わかりやすい解説

マリウーポリ
Mariupol

ウクライナ南東部,ドネツク州の都市。旧称ジダーノフ Zhdanov(1948~89)。州都ドネツクの南約 100km,アゾフ海から約 10km,カリミウス川,カリチク川の河口に位置する。1778年にコサックの野営地跡にパブロフスクとして設立。1779年に皇太子パーベル(→パーベル1世)の第二夫人マリア・フョードロブナにちなみ,マリウーポリと改められた。1780年にはクリミア半島から多数のギリシア人が移住し人口が急増,1882年にドンバスドネツ炭田)諸都市と鉄道で結ばれてから,石炭積出港として発展した。1948年,地元出身の共産党幹部アンドレイ・ジダーノフ功績をたたえて,名称がジダーノフに変えられたが,1989年にマリウーポリに戻った。2014年春から夏にかけて,クリミア半島武力併合したロシアを後ろだてとする武装勢力の攻撃に幾度もさらされたが,最終的にウクライナ軍が勝利した。しかし,2022年2月以降続くロシアによるウクライナ侵攻では,街はロシア軍に包囲され,激しい砲撃などで多くの民間人が死傷した。マリウーポリは,ウクライナではオデーサオデッサ)に次ぐ貿易港で,石炭,鉄鋼機械穀物などが輸出される。漁船団の基地であり,浚渫により大型船も接岸できる。大規模な製鉄所,それに付設するコークス工場のほか,機械製造,船舶修理,缶詰,小麦製粉などの産業がある。冶金研究所もある。人口 43万1859(2021推計)。

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