アゾフ海(読み)あぞふかい(英語表記)Азовское Море/Azovskoe More

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アゾフ海」の意味・わかりやすい解説

アゾフ海
あぞふかい
Азовское Море/Azovskoe More

ヨーロッパとアジアの間にある黒海北部の湾入で、ロシア連邦ウクライナにまたがる。ロシア連邦内では最小の内海。英語名Sea of Azov。ケルチ海峡で黒海に通ずる。東西360キロメートル、幅140キロメートル、面積3万8000平方キロメートル。水深は平均8メートル、最深部で14メートル。塩分濃度は南部で11、その他で9~10。表水温は夏季に25~30℃に達するが、11月下旬~3月上旬には結氷する。左回りの沿岸流によって北・東海岸には砂嘴(さし)と砂堆(さたい)の発達が顕著である。北東タガンログ湾にドン川が流入する。ウグイニシンコイチョウザメなどの漁獲がある。沿岸のおもな港はタガンログ、マリウポリ(旧ジダーノフ)、ケルチである。

[保谷睦子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アゾフ海」の意味・わかりやすい解説

アゾフ海
アゾフかい
Azovskoye more

黒海の北に位置する浅い内海。ウクライナ南東部とロシア南西部にまたがり,クリミア半島クルイム半島)とクバン川三角州低地に囲まれている。ケルチ海峡によって黒海と,またゲニチェスク海峡によって西方のシバシ湖とつながっている。西南西-東北東方向の長さ約 350km,中央部の南北幅が約 150km,面積3万 8000km2。平均水深 9m,最深部でも約 14mで,世界で最も浅い海である。 12月末~2月末は結氷。時計の針と逆方向に流れる沿岸流は東岸と北岸に特徴的な砂嘴を,また,西岸には細長いアラバト岬を形成している。海水の塩分濃度は,ドン川,クバン川,ミウス川などの流入により薄い。漁業が盛んで,チョウザメ,カワカマス,コイ,ボラ,ニシンなどが重要な漁獲であり,東岸のロシアのエイスクとテムリュクが主要漁港。沿岸主要港はロシアのロストフナドヌー,タガンログ,ウクライナのマリウーポリ,ケルチなど。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報