ウクライナ南東部,同名州の州都。人口99万1310(2005)。1924年まではユーゾフカYuzovka,24-61年はスターリノStalinoという名称であったが,スターリン批判に伴い現在の名称に変更された。現在は大工業都市であるが,1860年代には誕生したばかりの炭鉱町にすぎなかった。69年にイギリス人ジョン・ヒューズの冶金工場(現在のレーニン記念ドネツク冶金工場)がこの地に建設されてから,近くのドネツ炭田とクリボイ・ログの鉄鉱を背景に,飛躍的に発展した(旧名のユーゾフカは〈ヒューズの町〉の意である)。炭鉱・金属関係を中心とする労働者の町という性格から,強力な労働運動の伝統をもち,十月革命期にはウクライナの革命派の拠点であった。1941-45年の間ドイツ軍の占領下にあった。戦後すぐに復興され,石炭,鉄鋼,冶金,機械,化学などの重化学工業が発展している。
執筆者:青木 節也
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ウクライナのドネツク州の州都。ドネツィクともいう。1924年までユーゾフカЮзовка/Yuzovka、1961年までスターリノСталино/Stalinoとよばれた。ドンバス重工業地帯の最大級の中心都市の一つで、人口101万6000(2001)、91万0252(2018推計)。1860年代にイギリス人ヒューズJohn James Hughes(1814―1889)がロシア最初の近代的溶鉱炉を当時無人のステップ(短草草原)に建設したのが市の創始で、労働者が集まり、まもなく市となった。帝政末期には製鉄のほか10の炭坑、コークス工場、その他の小工場が立地した。ソ連になってから第一次五か年計画(1928~1932)により最重点投資が行われ、ドンバス屈指の工業都市となった。当時の新市名「スターリノ」はスターリンを記念する最高の名誉を担っていた。現在は石炭生産、製鋼、冶金(やきん)、鋳造、機械製作、石炭化学、石油化学、プラスチック、製紙、日用品、食品など幅広い工業分野をもつ。総合大学、工業技術関係の単科大学や専門学校、郷土館、美術館など教育・文化施設も多い。市はアゾフ海に流入するカリミウス川の上流部に位置し、周囲を美しい丘陵、果樹園などで囲まれている。
[渡辺一夫]
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(2014-5-21)
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