最古の時代から知られている古代エジプトの女神で、真実、法、権利、秩序をつかさどり、死者の裁判で重要な役割を果たした。このためギリシア人はマートをギリシアの女神テミスと同一視した。マートは太陽神ラーの娘とされ、トト(原語ではジェフティ)神の助言のもとに、プタハ神およびフヌム神とともに創造の作業を行った。マート神のシンボルは羽毛で、これは『死者の書』では、死者の心臓を量る秤(はかり)の一方にのせる分銅として描かれている。普通名詞としてのマートは古代エジプト人の道徳観を表しており、王たちはしばしば「マートにおいて生命あり」ということばを記し、マートを守ることを誓った。
[矢島文夫]
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