ミシマオコゼ(読み)みしまおこぜ(英語表記)Japanese stargazer

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミシマオコゼ」の意味・わかりやすい解説

ミシマオコゼ
みしまおこぜ / 三島虎魚
三島鰧
Japanese stargazer
[学] Uranoscopus japonicus

硬骨魚綱スズキ目ミシマオコゼ科に属する海水魚。北海道の南部以南、東シナ海、南シナ海、朝鮮半島の南岸に分布する。名のミシマは三島(昔の宿場町、現在の静岡県三島市)に由来し、オコゼは醜い魚を意味する。頭と体の前半部はいくぶん縦扁(じゅうへん)し、尾部に向かうほど側扁する。頭の背面と側面は骨板で包まれる。口は大きく上方に向かって開く。目は頭の背面にある。肩部に強大な棘(とげ)が突出する。腹びれは極端に前にあり、下顎(かがく)の下に位置する。体は褐色で、背側面に暗褐色の網状斑(はん)がある。体長33センチメートルぐらいになる。水深35~250メートルの砂泥底に、目と口を出して潜み、小魚などの餌(えさ)が接近するのを待つ。幼魚には下顎の内側にはルアーのような葉状の皮弁があるが、成魚ではなくなる。産卵期は4~10月で、卵の表面に亀甲(きっこう)模様がある。

 底引網で漁獲される。みりん干し、練り製品原料などにする。近縁種はキビレミシマアオミシマメガネウオなど日本から7種が知られている。

[尼岡邦夫]


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改訂新版 世界大百科事典 「ミシマオコゼ」の意味・わかりやすい解説

ミシマオコゼ (三島鰧)
Uranoscopus japonicus

スズキ目ミシマオコゼ科の海産魚で,日本では本科中もっともふつうに見られる。全長30cmに達する。本州中部以南,東シナ海に分布し,沿岸の浅いところで水深数十mまでの砂泥底にすむ。ムシマ,オババ,サカビシャク,ヌシマジョロ,ギヌ,サカンボ,カンコなど,全国各地に多くの地方名がある。また,後頭部背面に1対の強大なとげがあるため,これをウシの角に見たてて,ウシ,ウシンボなどと呼ぶ地方もある。また,円筒形の体の先端に上方を向いた眼をもつことから,英名をstargazer(星を見つめる者)という。砂中に潜る習性があり,眼と口だけを出していることが多い。魚類,甲殻類などの動物を食べる。産卵期は6~10月で,直径1.5~2.0mmの球形卵を産む。底引網や刺網で漁獲されるが,量は少ない。肉は白身で腐りにくい。かまぼこの材料となる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミシマオコゼ」の意味・わかりやすい解説

ミシマオコゼ
Uranoscopus japonicus

スズキ目ミシマオコゼ科の海水魚。全長 30cm内外。体の前方は太くて縦扁し,後方は側扁する。頭は大きく角形で,眼は背面にあり,両眼の間はくぼんでいる。頭部は背・側面を骨板で包まれている。鱗は小さな円鱗で皮膚の中にうずもれている。後頭部から肩にかけて4本のとげがあり,最後のものが強大。また鰓蓋前骨と鰓蓋間骨の下にそれぞれ5本のとげがある。体は褐色で,背側に暗褐色の網目模様がある。底生性。本州中部以南に分布する。

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百科事典マイペディア 「ミシマオコゼ」の意味・わかりやすい解説

ミシマオコゼ

ミシマオコゼ科の魚。地方名ムシンボウ,アマンボウ,ムシマなど。全長30cmに達する。頭部が大きく両眼は頭の背面にあって上方を向き,体には網目状斑紋がある。本州中部〜東シナ海に分布。肉量は多いが,さほど美味ではない。腐りにくく,練製品の原料とされる。

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