日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルアーフィッシング」の意味・わかりやすい解説
ルアーフィッシング
るあーふぃっしんぐ
lure fishing
ルアーとは、誘惑するという意味やおびき寄せるというときに使うが、釣りでは擬似餌(え)のことで、これで魚を釣るのがルアーフィッシング。対象魚は淡水、海水魚のうち、小魚などを捕食する習性をもつものを主体に、その他の魚でもルアーの種類の選択、使い方などによって釣ることができる。
ルアーの種類は多い。一般的には外観から形態の違いにより分類できる。それは、ルアーの原型ともいえる「スプーン」、これが発達進化した「スピナー」、小魚や小動物に近い形をした「プラグ」、オモリに鉤(はり)がついた形の「ジグ」、プラスチックを素材にした「ソフト・プラスチック・ルアー」、ルアーを2種または3種を組み合わせた「コンビネーション・ルアー」となる。またルアーは、釣り人の竿(さお)とリールのアクションによって、さまざまな個性的な動きをする。このため運動能力による分類、泳層範囲による分類から、釣り場の条件や対象魚の種類・大小で使用目的を分類することもある。こうした多角的な視点からルアーをみて、そのルアーの個性を釣り人が十二分に引き出すことによってよく釣れる擬似餌、つまりヒット・ルアーの発見にもつながる。
竿は対象魚の大小、ルアーの重さなどによって調子、長さを使い分ける。調子はウルトラ・ライト・アクションから、ヘビー・アクションまで普通六段階ある。また、スピン・キャスティング・リール、ベイト・キャスティング・リール、スピニング・リールを使い分けるように、竿の種類も分けられている。こうしたトータル・バランスを守らないと、スポーツ・フィッシング、ゲーム・フィッシングとしてのルアーフィッシングを楽しむことはできない。
釣り方のこつは、前にも説明したように、ルアーにいかに魚にとって「魅惑的な動き」を与えてやるかである。リールを巻くスピード、竿先のアクションを道糸からルアーに伝える変化、沈め方のタイミングなど、いろいろな方法によって、その動きが生まれる。生きた餌(えさ)を使って釣ってきた人たちにとって、ルアーは実に心もとない気もするだろうが、そうした気持ちでルアーを使うと、けっしていい釣りはできない。極端なことをいえば、魚はそんな気持ちを察して、ルアーを追おうとはしないからである。
[松田年雄]