ミズガヤツリ(読み)みずがやつり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ミズガヤツリ」の意味・わかりやすい解説

ミズガヤツリ
みずがやつり / 水蚊帳釣
[学] Cyperus serotinus Rottb.

カヤツリグサ科(APG分類:カヤツリグサ科)の多年草。細長い地下走出枝を伸ばし、秋の終わりに先端が肥厚して小さな塊茎となる。茎は高さ50~80センチメートル、断面は三角形。葉は幅約7ミリメートル。夏から秋、長さ約10センチメートルの花序をつける。沼沢湿地に普通に生え、しばしば大きな群落をつくる。名は、水湿地に生えるカヤツリグサの意味で、別名オオガヤツリともいう。北海道から沖縄、および朝鮮半島、中国、インドからヨーロッパに分布する。

 水田に生える多年生雑草の代表的なもので、種子と塊茎で繁殖するが、水田では塊茎からの発生が多い。一度水田で発生すると、塊茎で無性的に繁殖し、またたくまに増えて、やっかいな害草となる。

[木下栄一郎 2019年7月19日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミズガヤツリ」の意味・わかりやすい解説

ミズガヤツリ(水蚊張吊)
ミズガヤツリ
Cyperus serotinus

カヤツリグサ科の多年草。オオガヤツリともいう。日本全土,アジア,ヨーロッパに広く分布する。大型で茎の高さは 50~100cmあり,地下茎の先に小塊茎をつくる。葉は長く,茎の基部に少数あって基部で茶褐色の鞘になる。8~10月頃に,複生の花序をつけ,花序より長い総包片を3~4個つける。花穂は卵状楕円形,花柄には剛毛をもつことが多い。小穂線形で紅褐色または淡緑色である。めしべの花柱が2本しかなく,他のカヤツリグサ類 (3本) と異なる。

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