ムラサキツユクサ(読み)むらさきつゆくさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ムラサキツユクサ」の意味・わかりやすい解説

ムラサキツユクサ
むらさきつゆくさ / 紫露草
[学] Tradescantia ohiensis Rafin.
Tradescantia reflexa Rafin.

ツユクサ科(APG分類:ツユクサ科)の耐寒性多年草。株立ちとなり、花茎は根出葉の間から出て、高さ50センチメートル。茎葉は紫色を帯びた粉白緑色。花期は春から秋、花は径2~2.5センチメートルで朝開き、午後にはしぼむ。花弁は碧紫(へきし)色で卵円形萼片(がくへん)とともに3枚。雄しべは6本、花糸は碧紫色の柔毛を密生する。この毛は細胞が一列に並び、原形質流動細胞分裂を観察しやすいので、細胞学の実験によく使われる。北アメリカ原産で、観賞用ともする。じょうぶで栽培しやすいが、日当りのよい、やや湿気のある所でよく育つ。繁殖は普通春か秋に株分けで行う。まれに結実する。近縁種オオムラサキツユクサは紅紫、白、淡紫、濃青紫色の花を開く。

[吉江清朗 2019年6月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムラサキツユクサ」の意味・わかりやすい解説

ムラサキツユクサ(紫露草)
ムラサキツユクサ
Tradescantia ohiensis

ツユクサ科の多年草。北アメリカ原産で,明治初め頃渡来し,日本各地で普通に栽培されている。茎は円柱形,平滑で高さ 50cm内外あり,多数束生して立つ。葉は広線形で,樋状に湾曲して先端がとがる。花期は5~7月,枝先に多数集って開く。3枚の内花被は幅広く,径2~2.5cmあり3枚の外花被は厚みのある草質。おしべ6本は花糸が長く,その上に多数の紫の毛をつける。この毛は1列のじゅず状の細胞から成り,細胞学の実験材料として利用される。

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百科事典マイペディア 「ムラサキツユクサ」の意味・わかりやすい解説

ムラサキツユクサ

北米原産のツユクサ科ムラサキツユクサ属(トラデスカンチア)の多年草。高さは50cm内外で,茎は丸く肉質で,葉は長さ30〜40cmの広線形。初夏茎頂に十数個群生する花は3弁で紫色,1日でしぼむ。花壇植とするほか,花糸の毛が単列細胞からできているので細胞学の実験材料になる。早春,株分けでふやす。高さ70〜100cmになる別種のオオムラサキツユクサには花色が白,淡紅色のものもある。

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改訂新版 世界大百科事典 「ムラサキツユクサ」の意味・わかりやすい解説

ムラサキツユクサ

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世界大百科事典(旧版)内のムラサキツユクサの言及

【トラデスカンティア】より

…ツユクサ科ムラサキツユクサ属Tradescantiaの総称。大きな属で,北アメリカから熱帯アメリカに分布する約100種からなる多年草。…

※「ムラサキツユクサ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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