ツユクサ科ムラサキツユクサ属Tradescantiaの総称。大きな属で,北アメリカから熱帯アメリカに分布する約100種からなる多年草。うち数種が花や斑入りとなる美しい葉を観賞するために栽培される。ムラサキツユクサT.ohiensis Raf.は北アメリカ各地に広く分布する耐寒性多年草で,株をつくる茎は直立し,高さ50cmほどになる。明治の初めに渡来し,田舎の庭先に見かけられる。初夏から青紫色花を散形花序に多数つける。おしべの毛は,原形質流動など細胞学実験の材料として使われる。花を集めると青い汁が採れ,子どものままごと遊びに喜ばれる。本種より葉の幅が広く,花も大きいのがオオムラサキツユクサT.virginiana L.だが,一般にムラサキツユクサの名で栽培されるのは交雑種T.andersoniana-hybridで,花色も豊富で,強健で,どこにでもよく育つ。一方,熱帯アメリカ原産のものには,観葉鉢物として栽培される種がある。トラデスカンティア・アルビフロラT.albiflora Kunth(英名wandering Jew)は匍匐(ほふく)する茎をもち,その栽培品種アルボビッタータcv.Albovittataは葉に白色線状斑が入る大型種で,茎も太く強健で,つり鉢に向く。緑葉に戻ることがあるので,選抜が必要。トラデスカンティア・フルミネンシスT.fluminensis Vell.(英名wandering Jew)も前種に似た種で,ワリエガータcv.Variegataはやや小型種になり,幅広い黄色縞斑が入る。この品種も緑葉に戻りやすいので,よい芽を選抜することがたいせつ。トラデスカンティア・ブロッスフェルディアナT.blossfeldiana Milab.の園芸品種ワリエガータcv.Variegataは茎が太く直立性で,摘芯し短く育てるほうがよい。葉は厚く,淡黄色~ピンクの縞斑が入り,裏面は淡赤紫色。全体に白色毛を密生する。カサネオウギ(重ね扇)T.navicularis Ortg.とトラデスカンティア・シラモンタナT.sillamontana Matudaは,日当りのよい乾燥した状態で多肉植物として栽培される。
執筆者:高林 成年
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ツユクサ科(APG分類:ツユクサ科)の匍匐(ほふく)性多年草。北アメリカから熱帯アメリカに約60種が分布する。南アメリカ原産のフルミネンシスT. fluminensis Vell.は卵状楕円(だえん)形の葉に黄白色縦縞(たてじま)の入るシロフハカタカラクサや、新芽が紫桃色がかるラエケネンシスなどの園芸品種があり、ブラジル原産のアルビフローラT. albiflora Kunthにも白斑(はくはん)の入る品種アルボビッタータがあり美しく、家庭用観葉鉢物として吊(つ)り鉢などに賞用される。いずれも夏から秋に、茎頂に白色6弁の小花を散形花序につける。やや寒さに弱く、冬は室内で管理し、繁殖は種芽による。北アメリカ南部原産のオオムラサキツユクサT. virginiana L.は耐寒性宿根草で、園芸品種も多く、庭園や花壇で栽培される。
[植村猶行 2019年6月18日]
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