トラデスカンティア(読み)とらですかんてぃあ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トラデスカンティア」の意味・わかりやすい解説

トラデスカンティア
Tradescantia; spiderwort

ツユクサ科の1属で,北アメリカの温帯地域から熱帯アメリカまで約 60種が分布。花を観賞する種ではムラサキツユクサがよく知られるが,園芸的には,観葉植物として利用されるものがトラデスカンティアの名で呼ばれている。多くは匍匐性の多年草で,多汁質の茎葉をもつ。葉は長楕円形または披針形で,互生。花は葉腋あるいは茎頂につき,花弁萼片 (がくへん) ともに3枚ある。トラデスカンティア・アルビフローラ T.albifloraは明るい緑色の葉をもち,花は白色。園芸品種の`シラフツユクサ'は白い縦縞の斑 (ふ) が入る。ほかにやや小型のトラデスカンティア・フルミネンシス T.fluminensisや,葉の裏面が紫色で,花が桃紅色で基部が白いトラデスカンティア・ブロッスフェルディアーナ T.blossfeldianaなどが栽培され,いずれも斑入り品種がある。吊り鉢仕立てにされることが多く,温室内でグラウンドカバーのように用いられることもある。日光を好む。草姿が乱れたら刈込んで整える。冬は水やりを控え目にすれば3℃以上で越冬する。高温時の挿木で容易にふやすことができる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トラデスカンティア」の意味・わかりやすい解説

トラデスカンティア
とらですかんてぃあ
[学] Tradescantia

ツユクサ科(APG分類:ツユクサ科)の匍匐(ほふく)性多年草。北アメリカから熱帯アメリカに約60種が分布する。南アメリカ原産のフルミネンシスT. fluminensis Vell.は卵状楕円(だえん)形の葉に黄白色縦縞(たてじま)の入るシロフハカタカラクサや、新芽が紫桃色がかるラエケネンシスなどの園芸品種があり、ブラジル原産のアルビフローラT. albiflora Kunthにも白斑(はくはん)の入る品種アルボビッタータがあり美しく、家庭用観葉鉢物として吊(つ)り鉢などに賞用される。いずれも夏から秋に、茎頂に白色6弁の小花を散形花序につける。やや寒さに弱く、冬は室内で管理し、繁殖は種芽による。北アメリカ南部原産のオオムラサキツユクサT. virginiana L.は耐寒性宿根草で、園芸品種も多く、庭園や花壇で栽培される。

[植村猶行 2019年6月18日]


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