改訂新版 世界大百科事典 「メヘレン」の意味・わかりやすい解説
メヘレン
Mechelen
ベルギー北部,アントワープ州の都市。フランス語名マリーヌMalines。人口7万7480(2005)。ディルDyle川に臨み,アントワープとブリュッセルのほぼ中央に位置。ベルギー首座大司教座の所在地。レース製造で知られる。中世前期にはリエージュ司教領,フランドル伯領,ブラバント公領に次々と属し,ディル川による商業と毛織物業,造船業,金属工業などによって,強力な中世都市に成長。ブルゴーニュ公によるネーデルラントの統一により,その主要な行政・司法機関の所在地となり,15世紀末~16世紀初頭に最盛期を迎える。その後,政治的中心地としての役割は減少するが,最盛期に達成した活発な文化・芸術活動と,家具,レース,鐘などの生産を維持し続けた。大広場の周辺には,塔(高さ97m)を前面にいただくゴシック様式の巨大な大聖堂(13~16世紀)をはじめ,市庁舎,毛織物取引所など,中世末から近世初頭の建物が立ち並び,他にも多くの古い宗教建築,世俗建築が残る。
執筆者:森本 芳樹
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報