モクマオウ(その他表記)Casuarina stricta Ait.

改訂新版 世界大百科事典 「モクマオウ」の意味・わかりやすい解説

モクマオウ
Casuarina stricta Ait.

枝がトクサを大きくしたような特異な形態になるモクマオウ科の常緑高木。双子葉植物で,オーストラリア原産。オガサワラマツともいわれる。小枝は細く灰緑色で,縦に多数の細い溝があり,著しい節がある。葉は小さい鱗片状で9~12枚が輪生するが,基部は互いに合着し,節をとりまく鞘となっている。雌雄同株。枝先に細長い雄花序を生じ,輪生する苞の腋(えき)に2小苞2花被に囲まれた1本のおしべからなる雄花をつける。雌花は短い柄の先に,ほぼ球形の花序をなし,苞の腋に2小苞に包まれて1本のめしべがある。子房は1室で2胚珠がある。花後,小苞が発達し,木質となり,互いに合わさってくちばし状となり,集まって球果をつくる。果実が熟し乾燥するとくちばしが開き,中から狭い翼を持つ果実を放出する。

 トキワギョリュウC.equisetifolia L.(英名horsetail tree,swamp oak,Australian pine)は東南アジアから太平洋諸島に広く野生し,公園などにしばしば栽培されている。

 モクマオウ属Casuarina(英名she-oak,beefwood)はオーストラリアを中心に約45種が分布し,東南アジア,ポリネシア,アフリカ東部に少数種がある。これ1属でモクマオウ科を形成する。特に近縁な群の見あたらない特異な植物である。この科の材はたいへん堅く,オーストラリア鉄木あるいはポリネシア鉄木と呼ばれるほどであるが,加工が困難である。根瘤を持ち,やせ地に耐えるので,特に海岸砂地に植えて,防風防潮林とする。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モクマオウ」の意味・わかりやすい解説

モクマオウ(木麻黄)
モクマオウ
Casuarina stricta; coast casuarina

モクマオウ科の小高木。オーストラリア,タスマニア原産。幹は高さ2~4m,枝は細長く,節および縦条があり,外観はややトクサに似ている。葉は退化して鱗片状で各節に 10~12枚輪生する。花は2月頃に開く。雄花は細長い穂状花序を腋生し,おしべ1個,鱗片2個,大きな葯 (やく) をもつ。雌花は短い頭状花序をなし,花被を欠き,各花にめしべ1個をつける。成熟して広楕円形の球果となる。乾燥や潮風に強く亜熱帯地方では街路樹,庭園樹として植えられ,温室でも栽培される。日本では沖縄や小笠原諸島の海岸に防風林として植えられたものが自生状態になっている。材も利用される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「モクマオウ」の意味・わかりやすい解説

モクマオウ
もくまおう

トキワギョリュウ

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