日本大百科全書(ニッポニカ) 「トキワギョリュウ」の意味・わかりやすい解説
トキワギョリュウ
ときわぎょりゅう
[学] Casuarina equisetifolia L.
モクマオウ科(APG分類:モクマオウ科)の常緑高木。トクサバモクマオウともいう。高いものは約20メートルに達する。枝先は垂下し、全体は円錐(えんすい)形をなして茂る。根に共生菌をもち、菌根をなす。枝は細く、各節に7枚の鱗片(りんぺん)葉が輪生し、外見はスギナに似る。雌雄同株あるいは異株。雄花は細枝の先端に長さ1~1.5センチメートルの穂状花序をつくり、花被片(かひへん)は2枚、雄しべは1本。雌花は枝の基部の短枝に頭状花序をつくって開く。果実は広楕円(こうだえん)形の集合した痩果(そうか)で長さ約1センチメートル。オーストラリア原産で、沖縄諸島、小笠原(おがさわら)諸島では自然に繁殖するほか、海浜に砂防林として植栽される。樹皮からタンニンがとれる。本種はモクマオウ属のなかではもっとも広く植栽され、一般にモクマオウとよばれているが、真正のモクマオウ(ストリクタモクマオウ)Allocasuarina verticillata (Lam.) L.A.S.Johnson(C. stricta Ait.)では、節に16枚ほどの鱗片葉が輪生する。明治初年に移入されたが、現在日本ではほとんどみられない。
[古澤潔夫 2020年2月17日]