古代ギリシア語のmonos(単一の)とphōnē(音)の合成語で,ポリフォニー,ホモフォニー,ヘテロフォニーなどの多声性の音楽に対して,純粋に単旋律の音楽,またはそのような様式を指す。古代ギリシアの音楽,中世の単旋律聖歌(グレゴリオ聖歌など)や世俗歌曲(トルバドゥール,トルベール,ミンネゼンガーの歌),ルネサンスのコラールやマイスタージンガーの音楽,各国の単旋律民謡などがこれに含まれる。またポリフォニーやホモフォニーの音楽のなかでモノフォニー風の部分が効果的に現れることもあり,逆に単旋律の音楽でもポリフォニー的あるいはホモフォニー的構造を示すことができる(J.S. バッハの無伴奏バイオリン曲やチェロ曲など)。なお,モノフォニーのことをドイツ語,フランス語などではモノディということがあるが,これは,ふつうはとくに17世紀初頭の伴奏付独唱曲を指す。
執筆者:土田 英三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…古代ギリシア語のhomo(同質の)とphone(音)を語源とする。もともとは斉唱(モノフォニーmonophony)の意であったが,やがて多声音楽の成立とともにポリフォニーの対概念としてとらえられるようになった。ポリフォニーが,各声部が独立して水平的な音程の結び付きに重点が置かれた模倣対位法(対位法)の様式に代表されるとすれば,ホモフォニーは垂直的な結び付きに重点を置いている。…
…古代ギリシア語のhomo(同質の)とphone(音)を語源とする。もともとは斉唱(モノフォニーmonophony)の意であったが,やがて多声音楽の成立とともにポリフォニーの対概念としてとらえられるようになった。ポリフォニーが,各声部が独立して水平的な音程の結び付きに重点が置かれた模倣対位法(対位法)の様式に代表されるとすれば,ホモフォニーは垂直的な結び付きに重点を置いている。…
…古代ギリシア語のpolys(多くの)とphōnē(音,声)を語源とする。音楽は純粋な単旋律であるモノフォニーと,複数の音が同時的に鳴らされる多声的な音楽とに大別される。後者は多声性(あるいは多音性)という概念で総括されるが,これにはポリフォニー,ホモフォニー,ヘテロフォニーなどが含まれる。…
※「モノフォニー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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