ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モブツ」の意味・わかりやすい解説
モブツ
Mobutu Sese Seko
[没]1997.9.7. モロッコ,ラバト
ザイールの政治家。Mobutu Sese Seko Koko Ngbendu Wa Za Bangaとも呼ばれる。旧名 Joseph (-Désiré) Mobutu。コキアビルで中等教育を終えたのち,1949~56年ベルギー領コンゴ公安軍に勤務。ベルギーのブリュッセルに留学後,新聞記者を経てパトリス・E.ルムンバの指導するコンゴ国民運動 MNCに参加。1960年6月30日独立とともにルムンバ内閣国防大臣,1960年7月参謀総長,大佐。1960年9月14日ジョゼフ・カサブブ大統領の支持のもとにクーデターを起こし,ルムンバを追放,政権を掌握した。1961年2月軍最高司令官,少将。1965年11月再びクーデターでカサブブを追放し,大統領に就任するとともに中将に昇進。1966年10月首相兼任。1971年10月国名をコンゴ民主共和国からザイール共和国に改称,11月大統領に再選された。1967年5月以来,革命人民運動 MPRの一党支配体制をしき,1970年代前半には「真正」(オータンティシテ)イデオロギーを軸に,徹底したザイール化政策を推進したが,1973年の石油危機,主要産品である銅の国際価格の下落などもあって挫折し,修正を余儀なくされた。1984年大統領に 3選されたが,7年の任期が終了したにもかかわらず大統領の地位にとどまり,独裁体制をしいた。しかし冷戦終結以後の民主化の時代に入ってモブツの権力基盤は急激に弱まり,1996年内戦が勃発,1997年モロッコへ亡命した。(→コンゴ動乱)
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