モーリス(読み)もーりす(英語表記)John Frederick Denison Maurice

日本大百科全書(ニッポニカ) 「モーリス」の意味・わかりやすい解説

モーリス
もーりす
John Frederick Denison Maurice
(1805―1872)

イギリス国教会の聖職者神学者。非国教会員の家庭に生まれたが、長じて国教会に転じ、オックスフォード大学に学ぶ。1840年ロンドンのキングズ・カレッジの英文学、ついで神学主任教授就任。社会改革に深い関心をもち、ラドロー(ルッドロー)John Malcolm Forbes Ludlow(1821―1911)、キングズリーらとともにキリスト教社会主義を提唱し、1854年ロンドンに労働者大学を開校した。国教会内の自由主義的傾向の強い広(こう)教会派を代表し、永遠の刑罰を否定したため、保守派から非難された。主要著作に『キリスト王国The Kingdom of Christ(1838)がある。

八代 崇 2018年1月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「モーリス」の意味・わかりやすい解説

モーリス
Maurice, John Frederick Denison

[生]1805.8.29. サフォーク,ノーマンストン
[没]1872.4.1. ケンブリッジ
イギリス国教会の神学者。キリスト教社会主義の提唱者の一人。ケンブリッジ大学に学び,キングズ・カレッジの歴史,文学の教授 (1840~53) ,神学の教授 (46~53) ,ケンブリッジ大学の道徳哲学教授 (66~72) 。大きな神学的寛容を示してキリスト諸教派の抗争に反対,主著『キリストの王国』 The Kingdom of Christ (37) で,キリスト教の諸種の伝統から積極的要素を引出し,それらの統一を試みた。またキリスト教社会主義の運動,婦人教育のためのクイーンズ・カレッジの創立 (48) に協力し,ロンドンの労働者カレッジの初代校長にもなった (54) 。上記以外の主著『道徳哲学および形而上学』 Moral and Metaphysical Philosophy (50~62) ,『神学論集』 Theological Essays (53) ,『犠牲論』 The Doctrine of Sacrifice (54) 。

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