キングズリー(読み)きんぐずりー(英語表記)Charles Kingsley

日本大百科全書(ニッポニカ) 「キングズリー」の意味・わかりやすい解説

キングズリー(Charles Kingsley)
きんぐずりー
Charles Kingsley
(1819―1875)

イギリス国教会(イングランド教会)の聖職者、社会改革者、作家モーリスの影響を受けて社会改革に強い関心をもち、協同主義に基づくキリスト教社会主義運動を始め、数多くの小説を通して啓蒙(けいもう)に努めた。オックスフォード運動には否定的で、ローマ・カトリック教会に改宗したニューマンを批判したが、ニューマンは『わが生涯弁明』(1864)によって反論した。児童文学分野では『水の子』(1863)などで知られ、日本でも、片山潜(かたやません)による最初セツルメント事業の拠点であるキングスレー館建設(1897)で知られるように、初期社会主義運動に影響を及ぼした。

八代 崇 2018年1月19日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キングズリー」の意味・わかりやすい解説

キングズリー
Kingsley, Sidney

[生]1906.10.22. ニューヨーク
[没]1995.3.20. ニュージャージー
アメリカの劇作家民主主義を理想とする社会批判的なテーマを写実的に描く作家として知られる。コーネル大学卒業後,一時俳優をしていた。 1933年上演された処女作白衣の人々』 Men in Whiteは,医学的使命感と現実の生活の間で悩む若き医師を中心に病院生活を描いた作品で,ピュリッツァー賞を受けた。そのほか,スラム街の少年たちを描いた『デッド・エンド』 Dead End (1935) ,アメリカの初期民主主義の歴史を題材にした『愛国者たち』 The Patriots (43) ,人間性を失った刑事の悲劇『探偵物語』 Detective Story (49) や,A.ケストラーの小説の劇化『真昼の暗黒』 Darkness at Noon (51) がある。

キングズリー
Kingsley, Charles

[生]1819.6.12. デボンシャー,ホーン
[没]1875.1.23. ハンプシャー,エバズリー
イギリスの牧師,小説家。 1848年友人の F.D.モリスらとともにキリスト教社会主義の運動を創始。社会・宗教問題を扱った小説『酵母』 Yeast (1848) を発表,次いでチャーティスト運動に参加する青年を主人公とする『オールトン・ロック』 Alton Locke (50) を書いた。その後保守的傾向を強め,歴史小説『西行きの船だよ』 Westward Ho! (55) などがある。 64年 J.H.ニューマンと論争を行い,ニューマンの『アポロギア』が生れる契機をつくった。

キングズリー
Kingsley, Henry

[生]1830
[没]1876
イギリスの小説家。 C.キングズリーの弟。作品には,5年間滞在したオーストラリアに取材した小説『ジェフリー・ハムリンの思い出』 The Recollections of Geoffrey Hamlyn (1859) など。

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