日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤブイヌ」の意味・わかりやすい解説
ヤブイヌ
やぶいぬ / 藪犬
bush dog
[学] Speothos venaticus
哺乳(ほにゅう)綱食肉目イヌ科の動物。パナマからボリビアまで分布する原始的な種で、ブッシュドッグともいう。耳介が短くて丸く、四肢と尾が短いなどタヌキに似るが、より頑丈で臼歯(きゅうし)が上下とも1対少なく裂肉歯が鋭い。歯数はイヌ科でもっとも少なく38本。頭胴長66センチメートル、尾長12~14センチメートル、体高26センチメートル、体重5~7キログラム。四肢と後半身は黒褐色、他は黄褐色。沼地付近の森林や林縁にすみ、10頭以下の群れでカピバラ、レアまでの大きさの鳥獣を追いかけて捕食する。泳ぎも潜水も巧みである。個体数が少なく絶滅のおそれがある。
[今泉吉典]