ヤブガラシ(読み)やぶがらし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤブガラシ」の意味・わかりやすい解説

ヤブガラシ
やぶがらし / 藪枯
[学] Cayratia japonica (Thunb.) Gagnep.

ブドウ科(APG分類:ブドウ科)のつる性多年草。ヤブカラシともいう。長い根茎を伸ばして広がる。茎はよく伸びて分枝し、緑紫色で稜(りょう)がある。若茎には軟毛がある。巻きひげは葉に対生し、普通は二つに分かれる。葉は柄があって互生し、鳥足状の5小葉からなり、頂小葉は狭卵形または長楕円(ちょうだえん)形で波状の鋸歯(きょし)があり、ほとんど無毛、裏面に光沢がある。7~8月、有柄で扁平(へんぺい)な集散花序を葉に対生して出し、淡緑色の4弁花を開く。花期後に黄赤色の花盤が目だつ。雄しべは4本で花弁に対生し、花柱は棒状に直立する。果実球形で黒く熟し、種子広卵形。北海道南西部から九州、および中国、インドに広く分布する。属としては熱帯アジアから東アジアに約60種ある。名は、よくはびこって藪(やぶ)を覆い、枯らしてしまうことによる。また、手入れの届かない庭によく茂るのでビンボウカズラ貧乏蔓)ともいう。

[小林純子 2019年10月18日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤブガラシ」の意味・わかりやすい解説

ヤブガラシ(藪枯らし)
ヤブガラシ
Cayratia japonica

ブドウ科のつる性の多年草。ビンボウカズラともいう。日本,東アジア,インドに分布する。藪,畑に普通に生え,都会地の雑草にもなっている。地下茎がよく伸びてあちこちに芽を出し,勢いが強い。茎は数mも伸びる。若いときは赤紫色を帯び,巻ひげは葉に対生,2分枝する。托葉は三角形で縁に毛がある。葉は鳥足状の5小葉から成り,短柄をもつ。7~8月に,散房状集散花序を葉と対生する。個々の花は小さく花弁は4個で緑色落ちたあと黄赤色の花床が目立つ。果実は黒熟する。

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百科事典マイペディア 「ヤブガラシ」の意味・わかりやすい解説

ヤブガラシ

ビンボウカズラとも。ブドウ科のつる性多年草。日本全土,東南アジア平地にはえる。茎は分枝して長くはい,葉は柄が長く,互生し,5枚の小葉からなる鳥足状複葉。巻きひげは葉の反対側に出る。夏,径約5mmの4弁花を開く。花弁は淡緑色で開くとすぐに散り落ち,淡紅色の花盤が現れる。果実は球形で,黒熟。生長力が強く,繁茂するとヤブでも枯らすということでこの名がある。

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